祝日本アカデミー賞

長澤まさみさん、最優秀主演女優賞

奥平大兼くん、優秀新人賞


NETFLIX鑑賞


気になるモンスター誕生の理由
MOTHER マザー

シングルマザーの秋子(長澤まさみ)は働きもせずにお金を浪費し、無くなると息子の周平(郡司翔/奥平大兼)を連れて実家の両親(木野花/土村芳)に無心に行く生活。名古屋のホストの亮(阿部サダヲ)と付き合い始めると暮らしはさらに荒れていった。ある日、秋子に好意を持っていた役所の宇治田(皆川猿時)と揉め、亮が宇治田を殺したと思い3人は逃亡生活を始める。


NETFLIX早かったなー。昨年の夏公開の本作を配信で初見。コロナの影響があったかなかったか、スクリーン動員が伸びなかったので早々に配信、なんてところでしょうか。どっちにしても爽快には終われない展開。配信で正解だった。

長澤まさみ初の汚れ役。半端なことはしたくないとでも開き直ったか、やり切った感が充満。なにせ同情の余地が1ミリもない。働く気もない、節約する気もない、言うことを聞く我が子さえも自分のために利用する。もはやモンスター。


モデルになった事件がある。ストーリーも裁判で明らかになった事実をなぞらえているように思える。ただ、明確にはしていないようなので本作はあくまでフィクション。そうしておかないとこの母子の特異な関係はやりきれない。

周平がなぜそうなったのかは明らか。なのに秋子のそれは語られない。両親も妹も真面目に暮らしてるなか秋子だけ特異。現行法では捌けない「生まれついてのモンスター」は社会から手を差し伸べられないままどこかで生きている、ということか。


長澤まさみがやり切った、と書いた。ただ、あれだけの「悪」なのに男が寄ってくる。そのあざとさは見て取れなかった。成長した周平演じた奥平大兼の純度には目を見張る。これがデビュー作とは。幼少期を演じた郡司翔くんも難役。

阿部サダヲがワルのパターン。盟友皆川猿時との絡みはシリアスなのに笑いが漏れる。中盤以降のキーパーソンとして登場する夏帆。「海街Diary」での長澤まさみとの仲良し姉妹を思い出し、こちらも可笑しい。仲野大賀も今ではすっかり売れっ子。


結末もモデルになった事件と同じ。判決後に浮き彫りになった秋子の異常さを映像化した感じ。秋子はどうして、というのがやはり気になる。ナチュラルだと括るのは簡単。もしかしたらまだ知られていない真実がある、なんてことは…。

こういうのが実話は難しい。だからあえてフィクションなのかな。モヤモヤしたまま終わる本作。オススメ作品ではないけど、一石投じてることは確かな一本。


監督・脚本:大森立嗣/脚本:港岳彦/音楽:岩代太郎
出演:長澤まさみ/奥平大兼/郡司翔/阿部サダヲ/皆川猿時/仲野太賀/土村芳/木野花/夏帆


hiroでした。