NETFLIX鑑賞

「見つけるから」の表と裏
ビューティー・インサイド

ウジンは18歳の誕生日以降、毎朝目覚めるたびに違う人の容姿となる奇妙な現象が起きる。それは性別や人種、言語に関係なく、目覚める時まで分からない。事情を知る友人サンベク(イ・ドンフィ)の協力でインテリアデザイナーとして顔を出すことなく生計は立てているが、恋とは縁遠い暮らし。ある日家具店スタッフのイス(ハン・ヒョジュ)に恋をして何度も違う姿で店に出向くようになる。ウジンは意を決してイスを食事に誘う。


韓国映画増加中。ハン・ヒョジュ主演のラブコメファンタジーを初見。主役はウジンでは?…確かに主役なんだけど、毎日違う顔になるので演じているのは下記リストのキム・デミョンユ・ヨンソクまで全員がちょっとずつウジン役。

この数多のウジン役(笑)が韓国の映画やドラマでお馴染みの面々。最近気になる「#生きている」のパク・シネは女性の容姿でも中身はウジン。「梨泰院クラス」のパク・ソジュンは序盤の重要な場面のウジンで台詞も多い。



日本から参加の上野樹里がイスに真相を明らかにする重要なウジンなので誇らしい。終盤登場のコ・アソンは「グエムル」の主演の子(ガンホの娘)だった。こんなに大きくなったのか、と感慨。韓国ドラマに詳しい方ならもっと楽しめる顔ぶれ。

そんな企画モノとしても十分楽しい本作。「毎日変わるのはなぜ? 性が変わると体内の器官はどうなるの?」なんて疑問は野暮。何の説明もない豪胆さもまた良い(笑)。模倣でないオリジナリティも好感。韓国映画の勢いってその辺だよね。


コメディ味はいつもの韓国らしさ。本作のベースはラブストーリー。かなり特殊な事情こそあれ、恋に奥手な男子ウジンが恋に動き出す話と思えば良い。なので前半はウジン目線。毎日違う人なのにどうやって?…という喜劇的シチュエーション。

終盤に差し掛かり、ウジンが結婚を意識したあたりから様子は一変。ふつうの恋とは違うことにイスが戸惑い物語は膠着する。二人はこの危機を乗り越えられるのか、となる。韓国映画にありがちな半ば強引なオチには落ち着くのだけど(笑)。


「僕が見つけるから」と女子ならキュンとくる優しいセリフ。しかし裏を返せば「自分は彼を見つけられない」という事実。イーブンな関係にはなり得ない二人がすれ違うのは腑に落ちた。そこからラストへの流れがもう少し丁寧だったらもっと良かった。

ID社会の韓国。現実には難しいよね。どうやってチェコに渡航したのかも、最後の最後に気になったけど、ファンタジーなので気にしない気にしない。


監督:ペク/脚本:キム・ソンジュン/パク・ジョンイ
出演:ハン・ヒョジュ/キム・デミョン/ト・ジハン/ペ・ソンウ/パク・シネ/イ・ボムス/パク・ソジュン/キム・サンホ/チョン・ウヒ/上野樹里/イ・ジェジュン/キム・ミンジェ/イ・ヒョヌ/チョ・ダルファン/イ・ジヌク/ホン・ダミ/ソ・ガンジュン/キム・ヒウォン/イ・ドンウク/コ・アソン/キム・ジュヒョク/ユ・ヨンソク/イ・ドンフィ/ムン・スク


hiroでした。