NETFLIXオリジナル

1人じゃない!
#生きている

ソウル郊外の集合住宅に住むジュヌ(ユ・アイン)が目覚めると家族はすでに外出。学校へも行かずにネットゲームを始めるいつもの朝だった。ところがニュースで人が凶暴化する感染症の発生を知り、外を見るとすでに感染者で溢れていた。生存者は襲われ、隣人の変貌を目の当たりにし、家族との連絡も途絶えて絶望的な状況のジュヌ。死を覚悟したその時、向かいの塔に生存者(パク・シネ)がいることを知り希望を抱く。


9月8日配信開始のNETFLIXオリジナル作品。韓国では6月にスクリーン上映。大センセーショナルを巻き起こした「新感染/ファイナル・エクスプレス」、そのスピンオフ「ソウル・ステーション/パンデミック」に続く韓国産ゾンビ作品。

ゾンビという既存コンテンツに再び新機軸。今度は「団地」。限られたスペースに生きてる人間はたった2人。あとは大量の歩く屍人。このシチュエーションで感動のラストまで突っ走る。さらに生き延びる術は「ステイホーム」というグッドタイミング。


昨日までは他人の2人が互いの存在に力をもらい、協力する。一方はネットゲームに興じ、ドローンを駆使し、動画を配信する「デジタル男子」。もう一方は山に登り、テントで寝て、自然を愛でる「アナログ女子」。

真逆と言っていい2人。ただ、徘徊するゾンビに立ち向かい脱出するのに欠けているスキルをもう一方が持っている。助け合うことが生き延びること。何より「1人じゃない」のがとてつもなく心強い。ステイホームに助け合い。今、ベストな作品。


本作でリードを務めるのは「バーニング/劇場版」など着々と人気を固めるユ・アイン。実年齢33歳だがメンディばりの金髪でガジェット大学生を演じる。顔芸がナイス。韓国ドラマでおなじみパク・シネは年上に風に見えるが実はアインより若い。

知らない2人が関係を詰めていく過程が自然。「新感染」の徐々に親子愛を深めていく父娘のよう。発想だけに頼らず、人間ドラマとして積み上げているからこのリアリティ。ゾンビ映画の第二ステージも完熟期を迎えようとしている。


ロケ地は団地の一角。ほぼ2棟の建物と中庭のみというコンパクトさ。キャストも主演の2人以外は大量のエキストラ・ゾンビのみ(2人ほど人間が出てくるが、どこで出るかは内緒)。豪華なセットや豪華キャストなどなくても傑作は作れる。

韓国ではスクリーン上映されたらしい。時世だからか、元々の予定(本国のみ上映、その他は配信)だったかは不明だが、スクリーンでも観る価値あり。ただ、韓国ゾンビは足が速く、バキバキが気持ち悪いので襲われたくない(どこのゾンビにもだが)。


監督:チョ・イルヒョン
出演:ユ・アイン/パク・シネ


hiroでした。