WOWOW鑑賞
感覚系アニメーターからストーリーテラーへ
プロメア
突然変異の発火人間バーニッシュが急増。その能力をテロに使う者が現れる。クレイ(堺雅人)を宰相とする自治都市プロメポリスでは、バーニッシュの捕獲部隊フリーズフォースと消防・救命を目的としたバーニングレスキューが組織され、リオ(早乙女太一)率いるテロ組織マッドバーニッシュ、ヴァルカン(楠大典)率いるフォース、イグニス(小山力也)率いるレスキューが三つ巴で争っていた。あるテロ事件でレスキューの新人火消しガロ(松山ケンイチ)がリオを追い詰める。
(C)TRIGGER・中島かずき/XFLAG
今石洋之率いるクリエイター集団TRIGGERのオリジナル長編アニメ。独特のタッチと色使い、ビートを刻む音楽で紡ぐハイパーSFアクション。高速場面展開に縦横無尽のカメラアングルを長編にぶち込んだ意欲作。
ショートムービーにありがちな絵柄とカット割。これを長編で維持するのは至難、というか落ち着きも集中力もなくなる。それを可能にしたのが原作・脚本に携わった劇団☆新感線の中島かずき。プロットは大事だなぁ。
(C)TRIGGER・中島かずき/XFLAG
その脚本、ネタを晒すタイミングも順番も絶妙。オープニングで「ついていけるのか」と慌てたのも束の間、いつの間にか物語に参加しちゃってる。バーニングもいろいろいて、差別も受けていたりで中身もなかなか深い。
街中の消火バトルからラストに向かって物語は炎のようにどんどん膨れ上がる。黒幕の野望が露見した時には人類存亡の危機。火消しが世界を救う壮大なフィナーレへと怒涛の展開。そう、冒険活劇とはそういうことだ。
(C)TRIGGER・中島かずき/XFLAG
堺雅人がいるのはすぐ見つけた。静かな堺からキレる堺まで網羅。さすがの存在感。小五郎声優・力也さんも速攻回収。ところで主役は誰か、と思えば松ケンだった。全然わからなかったが大見栄のシーンはなるほど松ケン。
早乙女くんもわからなかったが、そもそも彼の声をわかっていないようだ。古田新太もいたので、この二人中島かずきの劇団☆新感線つながりだな。楠さんはヴィン・ディーゼルの顔面が思い浮かんでしまう(笑)
(C)TRIGGER・中島かずき/XFLAG
不本意ながらも本職以外のトラブルで注目されがちなTRIGGER。ポップ感が若者に支持されるのは納得。本作、そういう感覚的な(中身がない)のかと思いきや脚本のテコ入れでストーリー面も補強。驚きの対応力。
スタジオジブリ、スタジオ地図のネクスト世代争いに躍り出たTRIGGER。逆風に煽られながらも進化を続けるクリエイター・チーム。こういうところは強い。まだまだ伸びる。
監督:今石洋之/原作・脚本:中島かずき/原作:TRIGGER
出演:松山ケンイチ/早乙女太一/小山力也/楠大典/佐倉綾音/小清水亜美/稲田徹/吉野裕行/新谷真弓/ケンドーコバヤシ/柚木涼香/古田新太/堺雅人
hiroでした。