WOWOW鑑賞

福士蒼汰のキャラ力!

曇天に笑う


士族の反乱が相次ぎ、世の中に暗雲漂う明治日本。300年に一度、曇天が続く時、封印されたオロチが復活する。琵琶湖に伝わる伝説がささやかれる中、オロチ封印の家系のひとつ曇家当主の天火(福士蒼汰)は弟の空丸(中山優馬)、宙太郎(若山耀人)と村の治安を守っていた。政府が秘密裏に組織するオロチ対策部隊犲を率いる蒼世(古川雄輝)、オロチ復活を画策する風魔一族も動き出し、琵琶湖一帯は騒然とする。


コミック〜アニメ〜舞台、からの実写映画。和洋入り乱れる異文化社会が背景のファンタジー・アドベンチャーを初見。蒼汰くん主演で着物、公開も同じ2018年の「BREACH」と混同しそう(笑)。

和太鼓ビートとYOSAKOIダンサーによる冒頭のお祭りシーンはまるでミュージカルのよう。限られたセットをフルに活用したオープニングが圧巻。演劇の匂いを漂わすのが特徴の本広監督らしさと言っていい。


ただし、オープニングの盛り上がりが最高潮で以下平坦。多勢の敵との太刀回りも舞台のような展開だが、カメラが途切れて「本広らしさ」が半減。CGも多く、ライブパフォーマンス感が右肩下がり。

三兄弟や白子(桐山蓮)、隊の面々(原作とは変えてるようだが)の個性は短時間でちゃんと伝わる。人物相関のまとめ方はうまくいっているので、ライブ性と映画性のバランスの問題か。


蒼汰くんはキャラの人。演技の巧拙を問えば巧ではない(否定論でなく)が存在感は群を抜く。バランスが悪い本作が均衡を保っているのは蒼汰くんの存在感のおかげ。俺様的な本作のキャラは適材適所。

優馬くんはキーマンだが荷が重い。古川くんが脇で支える健闘。イケメン祭りな目論見で若手を揃えたのだが、映画作品として力不足。ゲストの東山紀之以外にもう一、二枚はベテランを加えたかった。


ライブ感を押し出す「熱苦しい」くらいの舞台意識の演出であれば、ベテラン不在の「青さ」も活かせたのではないかな。題材はむしろ好みだっただけにやや残念。


 DATA

監督:本広克行/脚本:高橋悠也/原作:唐々煙/音楽:菅野祐悟
出演:福士蒼汰/中山優馬/若山耀人/古川雄輝/大東駿介/市川知宏/加治将樹/小関裕太/桐山蓮/東山紀之


hiroでした。