NETFLIX鑑賞

美しく強固な家族の絆!
グエムル-漢江の怪物-

市民の憩いの場・漢江に謎の生物が現れ、川辺で売店を営むパク・カンドゥ(ソン・ガンホ)の娘ヒョンソ(コ・アソン)が捕まり行方不明になる。悲しむカンドゥと祖父ヒボン(ピョン・ヒボン)の下に叔父ナミル(パク・ヘイル)、叔母ナムジュ(ぺ・ドゥナ)が集まるが、カンドゥもウイルス感染の疑いで軍に隔離される。ところが死んだと思われたヒョンソから携帯に電話が入る。誰もヒョンソの生存を信じない中、家族は施設を抜け出しヒョンソを救出するために行動を起こす。


初見。やっと観れたんだけど、これ傑作。実際にあった漢江へのホルムアルデヒドの流出事件に着想を得て作られた本作。事件で流出させたのが駐韓米軍だったらしく、ポン・ジュノの米軍への不信や怒りに溢れてる。

なので作中の米軍は犠牲になった一人を除いてわかりやすく悪役。圧倒的な武力で制圧しようとする米軍や追従する韓国警察に対抗するのが「家族」。特殊な経歴もなく、公園で売店を経営する一般市民というのがツボ。


普通すぎる彼らが立ち上がるその原動力は、制圧者への反発だけじゃない。それは家族の絆。罵りながらも誰よりもその人のことを知っている。だから信じられるし、委ねられるし、一生懸命にだってなれる。

弟ナミルは学生運動に参加して大学生活を無駄にし、妹ナムジュはアーチェリー選手だが思い切りの悪さでミスをする。そんな残念エピソードの使い方も上手い。モンスター映画をファミリーエンタメに昇華させている。


ソン・ガンホは言わずと知れた韓国映画界のビッグネームでポン・ジュノファミリーの中核。本作も絶対的な存在感。ヒョンソ役コ・アソンは本作でブレイク。ジュノ作品「スノーピアサー」でも親子役で共演。

ピョン・ヒボンは配信作「オクジャ」でも主人公の祖父役だった。日本やハリウッドでも活躍するぺ・ドゥナはジャージ姿でもやはり凛々しい。モンスターの声はコメディアンで名バイプレイヤーのオ・ダルス


モンスターが軍の兵器を使わなくてもギリギリ倒せるスペック。そこがB級らしい緩さを醸しているのだが、だからこそ一般人が立ち向かうというカタルシスが成立する。

何よりも家族の絆。儒教国に受け継がれる美しい道徳とでもいうべきか。我が国にも「昭和」の時代には普通にあったのだが…。


監督・脚本:ポン・ジュノ/脚本:ハ・ジョンウォン/パク・チョルヒョン
出演:ソン・ガンホ/ピョン・ヒボン/パク・ヘイル/ぺ・ドゥナ/コ・アソン/イ・ジェウン/イ・ドンホ/ユン・ジェムン/オ・ダルス


hiroでした。