10本目(3月5日鑑賞)

黙っていても何も変わらない
スキャンダル

ケーブルテレビFOXニュースのアンカーの一人メーガン(シャーリーズ・セロン)は「一言多いコメント」で大統領候補トランプのバッシングを受けていた。同じ頃、元スターアンカーのグレッチェン(ニコール・キッドマン)はプライムタイムの番組を降板され、局の創始者エイルズ(ジョン・リスゴー)のハラスメントによる降格だと弁護士に訴える。一方のエイルズは次のスター候補として若い野心家ケイラ(マーゴット・ロビー)に目をつける。


おー、かなりストレート。勘違いエロジジイはきっとホントにわかってない。何が問題なのか、どうして罰せられるのか。ジジイの中では当たり前の日常。セクハラ定義をわかりやすくドラマ化。実話がベースで実名多数。

ところがリアルはそんなに単純ではない。シロでもクロでもないグレイゾーンにこそ問題がある。「子供を産んだら仕事に穴を開けるから大きな仕事は任せられない」(←これ実話)…なんてのも同じことなんだよね。


一方でジジイに反撃しない人々もちゃんと描いている。オトコだけじゃない。オンナも。弱い自分を晒したくなかったり、生活がかかってたり、理由は様々。そこが弱点だと知っていて、足下を見るのがヤツらのやり口。

社会ってそういうもんだから?…ちょっと待て、これ単なるセクハラじゃなく、あらゆるハラスメントを語ってないか。「当たり前」「ふつうはそう」「常識でしょ」…なんて考えが蔓延っているから世界は変わらない。


製作にも参加のセロン姐さん。映画界での存在感がガンガン巨大化。カズ・ヒロ(オスカー受賞)の特殊メイクでメーガンご本人に激似。メイン作公開が続くロビーの「躊躇」は名演技で終盤はもらい泣き。

ストーリーの牽引者はキッドマンのグレッチェン。こちらもそっくり。リスゴーの巨体に唖然。「ゴーストバスターズ」のケイト・マッキノンは3トップに次ぐ立ち位置。アリソン・ジャネイとロビーはあのコンビだね。


FOXがボッコボコ(笑)。「FOXチャンネルのアンカーウーマン」っていろんな映画のセリフでちょいちょい耳にしてたけど、その揶揄、やっと分かった気がする。原題もそういう隠語らしい。

人は会社のためにいるのではない。上も下もない。人と人とが尊重し合い、知恵を出し合い、人のために何かを生み出すのが会社。自分勝手なモラルや常識で上から人を縛りつけるのは「支配」でしかない。



女性だけの問題じゃない。人を人として見ることができない社会は発言しないと変わらない。立ち止まって動けないでいた僕の心に留まった微かなヒント。観てよかった。

change the worldー世界を変えよう、少しずつでも。


監督・製作:ジェイ・ローチ/脚本・製作:チャールズ・ランドルフ/製作:シャーリーズ・セロン/音楽:セオドア・シャピロ
出演:シャーリーズ・セロン/ニコール・キッドマン/マーゴット・ロビー/ケイト・マッキノン/アリソン・ジャネイ/ジョン・リスゴー


hiroでした。