4本目(1月31日鑑賞)

メディア、権力、大衆に物申す!
リチャード・ジュエル

監督・製作:クリント・イーストウッド/脚本:ビリー・レイ/原作:マリー・ブレナー
出演:ポール・ウォルター・ハウザー/サム・ロックウェル/キャシー・ベイツ/ニナ・アリアンダ/オリビア・ワイルド/ジョン・ハム

1996年7月27日、オリンピックに沸くアトランタのイベント会場で爆破事件が起きる。リチャード(ポール・ウォルター・ハウザー)らが爆弾を見つけたことで被害は最小限に抑えられた。一躍英雄になったリチャードだったが、彼が容疑者だと新聞が報じると一夜にして犯罪者のように扱われる。リチャードは以前の仕事で知り合った弁護士ワトソン(サム・ロックウェル)に助けを求める。


これでも物書きの端くれ。事実と主観は使い分けている。ひとつの文章に両方入ることはよくある。が、主観が押しつけになってはいけない。人を制御しようとすればそれは扇動だ。単に自分の意見に留めないとならない。

アトランタオリンピック…リアルタイムだったがこの事件は覚えてない。ボーッと生きてたんだな。ヒーローから一転してヒールに。なんだろ、空気が出来上がるとすべてが悪い方向に。その流れには抗いようがない。


この事件の流れを作ったのはメディア。メディアは自分が正義だと信じ、今日もなお悪を叩くために正義の剣をかざしている。そろそろ気づくべきではないか。正義の尺度はひとつじゃないことに。

実話ベースの本作、御大イーストウッドの怒り。その怒りはメディアなり法権力に向けられている。ただし、メディアの思う壺になっているのは我々大衆だ。情報の受け方次第で大衆は当事者にもなる。


ロックウェルが「ジョジョ・ラビット」同様の凄さ。「スリー ビルボード」以降神がかっていてメジャー作センターでも輝く。キャシー・ベイツは助演女優でオスカー候補。あれだけ泣かされたのだから納得。

オリビア・ワイルドが嫌なヤツなのでその演技に拍手。ジョン・ハムはさらにムカつくクソ捜査官を演じてくれたので喝采。などとひととおり褒めたが、なんと言っても主演のハウザーじゃんね。


リチャードが最初は見ててイラつく。ところがそれも仕込まれた伏線。リチャードその人がブレてないんだよね。詳しくは書けないのだけど、演じたハウザーは「最高」とだけは言える。

メディア、権力に加えて世論という暴力。ある日突然標的にされるかもしれない恐怖。そういうテーマだけどだけど重すぎずエンタメ度も高いので観やすかった。これは好き。おすすめです。



hiroでした。