WOWOW観賞

主人公の中で何が起きたのか?
ノクターナル アニマルズ

夫ハットン(アーミー・ハマー)の援助でギャラリーを営むスーザン(エイミー・アダムス)。事業は成功して豊かな暮らしを手に入れたが、ハットンとの関係は冷め、不眠の日々が続いていた。ある日、離婚したエドワード(ジェイク・ギレンホール)から自作小説の校正が届く。夜な夜な小説を読んでいくうちにエドワードとの過去を思い出していく。


ファッションはまったく守備範囲外なのでトム・フォードって知りませんでした。そんな有名な方が映画監督までやっているなんて知る由もなく。しかも3本目なんですってね。

本作は①スーザンの現在、②エドワードの小説「夜の獣たち」のストーリー、③スーザンとエドワードの過去、の三層構造。これがランダムに織り込まれていく凝ったつくり。

①裕福で怠惰な生活=インパクト色のアート作風、②劇中劇の小説=荒地色のアクション作風、③過去の出会いと別れ=暖色の恋愛映画風。魅せるプロらしいこだわりの色分け。


①空虚、②正義、③喪失、がそれぞれに埋め込んだ隠しテーマなのかな。

②は「もしかして実話なの?」とハラハラ。とはいえ、小説のストーリーは凝った話ではなく(劇中劇だから良いのだが)、何かを象徴しているのだとしても抽象的すぎたかも。

③でクライマックスへの展開を期待させておいて…おそらく③が観客をリードするカギ。オチを知ってから考えると、スタッフの狙い通りなのだろうが、好みの分かれるところ。


エイミーはブッとんだ役がすっかり板に付いた。怪優ジェイクとも十分以上に渡り合う。そのジェイクは小説内(スーザンの想像)の主人公も兼務。ハマーは贅沢な使い方。

小説の「妻」がエイミーではなくアイラ・フィッシャーと知り仰天。アーロン・テイラー=ジョンソンが本気で嫌な役。マイケル・シャノンは重要な役のはずだが伝わりづらい。


エドワードの行動が「復讐」なのは間違いないと思う。小説の中の保安官の存在や現実世界に登場する「REVENGE」と描かれたアート作品などが何かを暗示しているのだろう。

最後まで何も事件は起きず、スーザンの妄想のみ。いろいろ考察して補足を試みたが「納得」には至らず。僕レベルでは太刀打ちできないらしい。あまり乗れない一本だった。


監督・脚本:トム・フォード/原作:オースティン・ライト
出演:エイミー・アダムス/ジェイク・ギレンホール/マイケル・シャノン/アーロン・テイラー=ジョンソン/アイラ・フィッシャー/エリー・バンパー/アーミー・ハマー


hiroでした。