WOWOW鑑賞


失敗しない奴なんていないし

青の帰り道


ミュージシャン志望のカナ(真野恵里菜)、家を出て独立したいキリ(清水くるみ)、フラフラとくすぶっているリョウ(横浜流星)、医者を目指すタツオ(森永悠希)、地元に根付こうとするコウタ(戸塚純貴)とマリコ(秋月三佳)、東京の大学ライフに憧れるユウキ(冨田佳輔)。それぞれが夢を描いて高校を卒業したが、厳しい現実に挫折していく。


希望しかなかったあの時代。あの時、思い描いた自分になれているか。ほとんどの人は否である。社会に出て、いかに安易な夢ばかり語っていたのかを知る。

思い通りいかずに挫折。逃げ場を失った者がたどり着くのは、あの時、嫌っていたもの、避けていたもの、逃げたかったもの。実はそれらすべてが大切なものだったりする。


「失敗」という評価は誰が決めるのか。人に失敗だと言われても当人がちゃんと対処できていればそれでいい。ひとつの成功は無数の失敗の上にあるのだから。

思っていたよりも苦い話。終盤のキリの母(工藤夕貴)の言葉がすべて。失敗しても味方は必ずいるもんだよ。


マノエリ主演は初なのかな。無事に公開できて何より(後述)。もう1人の主役くるみちゃんがとても良かった。「桐島、部活やめるってよ」の時から光ってたもの。

森永くんって演技派だったことを初めて知った。今をときめく流星くんの役は脚本的にやや強引。その他3人はとってつけた感。撮り直しの影響もあったかも。


元タレントおかもとまり原案によるストーリー。高畑裕太事件のあおりで消滅しかけたものの、キャスト変更〜撮影し直しを経て無事完成。本作自体が失敗を乗り越えた作品。

ヒューマンエラーは必ず起きる。責任を追求するより、どう反応してどう対処したかが重要だ。失敗ばかりの僕はそう思う。本作、嫌いじゃない。


 DATA

監督・脚本:藤井道人/脚本:アベラヒデノブ/原案:おかもとまり
出演:真野恵里菜/清水くるみ/横浜流星/森永悠希/戸塚純貴/秋月三佳/冨田佳輔/山中崇/嶋田久作/工藤夕貴/平田満


hiroでした。