WOWOW鑑賞

救いのない青春群像劇
リバーズ・エッジ

監督:行定勲/原作:岡崎京子/脚本:瀬戸山美咲/音楽:世武裕子
出演:二階堂ふみ/吉沢亮/上杉柊平/SUMIRE/土居志央梨/森川葵/綾田俊樹/西田尚美

工業廃水が淀む河口の街に住むハルナ(二階堂ふみ)は、カレシの観音崎(上杉柊平)に暴力を受けている山田(吉沢亮)を助ける。それが縁で「宝物を見せる」という山田について河原へ行くと、そこには腐乱した死体があった。摂食障害の高校生モデルこずえ(SUMIRE)もそれを知っているという。


気付いた時には落ちていた。岸は見えているのに、進むことも、手を伸ばすことも、足掻くことも面倒で、沈むに任せている。

手を伸ばせば、岸から差し出される手があるかもしれないのに。助けを求めれば、助けてくれる人がいるかもしれないのに。

それでも彼らは生きている。


「気持ち悪い」作品だった。本作に出てくる若者に人間らしさが欠如している。彼らは明日も未来も持っていない。

親のせい。一見ふつうに見える家庭も嘘にまみれている。そんな環境にいたから諦めるしかない。だから暴力や薬やセックスに走る。しょうがないじゃん、親が悪いんだから。

…若者の気持ちを理解していないと言われようと、どこにも共感できなかった。


唯一、人間らしさを感じたのはW主演亮くんの山田。ふみちゃん演じる主人公ハルナにすら希薄な愛がある。

観音崎、ルミ、こずえ、カンナ…みんな、助けてほしいのに何もせずに助けてくれるのを待ってるだけ。救いも希望も感じられなかった。

重苦しい音楽は、ミスチルライブツアーを2年連続でサポート中の世武裕子。


ただ、救いのない話を演じた若手俳優陣はうまい。嫌なヤツを徹底的に嫌に演じる力量は確か。そこは救い。

いつも優しい視線を感じさせてくれる行定監督が撮ってもこうなる。ある意味、それが岡崎原作の持つパワーなのだろう。



hiroでした。