WOWOW鑑賞

抜群のスリル展開だったが…
二重生活

監督・脚本:岸善幸/原作:小池真理子/音楽:岩代太郎
出演:門脇麦/長谷川博己/菅田将暉/河井青葉/篠原ゆき子/宇野祥平/西田尚美/烏丸せつこ/リリー・フランキー

哲学を研究する大学院生の珠(門脇麦)は教授の篠原(リリー・フランキー)に「目的のない尾行」による人間考察の論文を勧められる。マンション前の家に住む石坂(長谷川博己)をたまたま見かけて尾行すると、思いもよらない秘密を知ってしまう。


フードコートの隣のテーブルで食事する老夫婦の会話を聞くともなしに聞き、ふだんの家での会話とか、若い頃はどうだったとか、お子さんたちはどうしてるんだろうとかを想像することがある。

…あれ?そういうことありません? いわゆる人間観察。想像だけではなく、より事実を集めて客観的な視点で観察するのが「目的のない尾行」なのでしょうか。



主人公は哲学の修士論文のために尾行を始める。恋人との暮らしにも空虚を感じていた主人公は、幸せそうな暮らしをしている石坂の二重生活を知り、心が満たされていく自分に気付く。

他人の生活を覗き見る背徳感にハマっていくドキドキ。石坂を尾行している主人公をさらに我々が覗き見している二重構造。これはよくできてる。


麦ちゃんが地味な見てくれなのに危うげで妖艶な哲学女子を大熱演。センターを見事に全う。長谷川くんも負けずに色香を漂わす。リリーさんは心配無用の安定感。

菅田将暉、本作、もう少し絡みがあっても良かったような。岸監督とは後に大仕事をするわけだけど。西田尚美がいつのまにか大女優の風格なので軽く驚いた。


尾行という犯罪っぽさとスリル。面白い試みに引き込まれる。が、(少しネタバレ)終盤に差し掛かった頃にバレる。そこからの展開が「哲学」の難解さに凭れた印象。

最後まで観て少々疲れた。哲学なんて難解なものだと、納得しておこう。



hiroでした。