WOWOW鑑賞

人の優しさに甘えてもいいんだよね?
ぼくの名前はズッキーニ

監督・原案:クロード・バラス/原作:ジル・パリス/脚本:セリーヌ・シアマ/音楽:ゾフィ・フンガー
出演(日本語吹替版):峯田和伸/麻生久美子/浪川大輔/リリー・フランキー

酒浸りの母を階段から落とし死なせてしまったズッキーニ(峯田和伸)。父もいない彼は警官レイモン(リリー・フランキー)の世話で孤児施設に入所する。シモン(浪川大輔)ら様々な理由で施設にいる子ども達と徐々に打ち解けた頃、1人の少女カミーユ(麻生久美子)が入所してくる。


人はそんなに強くない。1人で生きていける人なんてどこにもいない。

人は意外と優しい。できないことは助けてくれる。できないときは甘えていい。

そして、できるようになったら、できない人を助けてあげよう。


そこにいる子どもたちは皆、小さい心には大きすぎる傷を負っている。「悲しみ」なんて単純な感情ではない。裏切り、衝撃、喪失、孤独、虚無…うまく言い表せる言葉が見当たらない。

キャラクターの大きな瞳にはその感情が溢れている。自分のアイデンティティを見つけられずに溺れている。…いや、溺れていることにさえ気付かないでいる。


この喪失や虚無に襲われると何をしていいのかもわからなくなる。何もできなくなる。

そういう人が周りにいたら、手を差し伸べてください。声をかけてください。気にかけてくれる人がいる、それだけで大きな力になります。

峯田くん、麻生さん…大人びた声なのが「子どもらしさ」の欠けたキャラにマッチ。リリーさんの声の優しさも耳に残る。


ハッピーエンドで終わっている本作。施設に残った子も少しだけ前を向いている。ラッキーだったとはいえ、人の優しさに少し救われる。

生き方も多様性の時代。利己主義でも、家族第一でも、仕事一筋もいい。ただ、優しさだけは失わずにいたい。人の優しさは信じていたい。



hiroでした。