WOWOW鑑賞


ニッポンのココロ!
KUBO/クボ 二本の弦の秘密
 
監督・製作:トラヴィス・ナイト/原案・脚本:マーク・ヘイムズ/音楽:ダリオ・マリアネッリ
出演:アート・パーキンソン/シャーリーズ・セロン/マシュー・マコノヒー/ルーニー・マーラ/レイフ・ファインズ/(吹替)矢島晶子/田中敦子/ピエール瀧/川栄李奈/森田順平/羽佐間道夫
 
岸壁の洞窟で母と暮らすクボ(アート・パーキンソン)は日が暮れるまでに村から戻る約束を破り、何者かに襲われる。助けに来た母の不思議な能力で逃げ延びるが、その母は殺され、喋るサル(シャーリーズ・セロン)と共に伝説の3つの武具を探す旅に出る。
 

メガネに七三分けのサラリーマンとミニスカセーラーのポップギャルがシブヤの交差点を闊歩する。外国人がイメージするニッポンとしてはそんなところか。

洋画に出てくるなんちゃってニッポンに閉口し、苦言を漏らしたりする一方、我々が言う「アメリカっぽい」とか「フランスらしい」とかって、それ正しいんだろうか。

見た目を追っかけても中身がないと何かが違う。結局はその国の人に触れてみないとわからない。観光レベルじゃ見えないもののほうが多い。


このストップモーションによる長編アニメは「コララインとボタンの魔女」で注目されたスタジオライカの作品。驚きなのは、明らかに日本のサムライの時代が舞台であること。

ライカのCEOであり本作監督のトラヴィス・ナイトは黒澤明と宮崎駿の大ファンだとか。来日すること数知れず、日本の伝統文化にも造詣が深い。本作冒頭で描かれる海も北斎の描く波を意識しているのだそうだ。


見た目だけではない。本作で描かれた精霊流しは日本人の死生観である。物理的な肉体を失っても精神は遺された者の傍にいる。これは土葬の国、ゾンビの名産地の方には理解しづらいかと思う。

「折り紙」が心憎い。一枚の紙が形を成し、生命を与えられる。これは「無」からモノを作り出す日本人の想像力であり技術力。三味線の構造も把握されているトラヴィス監督は日本人以上に日本人だ。


セロン姐さん筆頭にマシュー・マコノヒールーニー・マーラレイフ・ファインズと豪華声優陣で紡ぐストーリーは、子どもにも理解しやすい王道冒険ファンタジー。

場面ごとのイメージカラーも美しく、チャン・イーモウの「HERO英雄」を連想した。手間暇かけたストップモーション含めアニメ作品としてハイクオリティ。



hiroでした。