WOWOW鑑賞 聖夜のオススメ作品

 
暗くして、ロウソクを灯して…
大停電の夜に
 
監督・脚本:源孝志/脚本:相沢友子
出演:豊川悦司/田口トモロヲ/吉川晃司/井川遥/香椎由宇/淡島千景/田口浩正/本郷奏多/阿部力/田畑智子/原田知世/寺島しのぶ/宇津井健
 
クリスマス・イブの夜に首都圏が停電を起こす。ある女性を待つジャズバーの店主(豊川悦司)、病床の父に思わぬ告白をされた息子(田口トモロヲ)、元恋人が結婚したことを知ったチンピラ(吉川晃司)、不倫を終わらせたOL(井川遥)、手術前夜のモデル(香椎由宇)が思い思いの時間を過ごす。
 
 
これ、洋邦問わずクリスマス映画で一、二を争う好きさ。
 
お仕事にイベントに大忙しのイブの夜の大トラブル。関係なさげな「問題あり」の人たちがかすかに触れ、すれ違う、たった一夜の群像劇。大袈裟な奇跡もなく、ほんの少しのハッピーエンド。この匙加減が素敵すぎる。
 
豪華アンサンブルキャスト。いろんな組み合わせが楽しめるのがひとつの醍醐味。どんな組み合わせのどんなストーリーかは、事前情報なしでお楽しみいただきたい。
 
豪華キャストのなかでも推したい役者は田畑智子本郷奏多。普段から推してる役者さんなのですが(笑)。とくにタバトモ、ナナメな役が多い出演作のなかでこれ一番かわいいと思う。
 
 
会社帰りに停電。そんな負の時間を優しい時間に変えるアイテムがロウソク。星も見えない東京の夜の明るさとは対極。静かなほんのりとした灯り。熱もある。そんなろうそくが演出する会話が心地よい。
 
一緒にいてもテレビをつけたり、音楽かけたり。会話のネタにはなるけど、それってタレントや音楽のことを話してるだけ。自分のこと、相手のこと、あまり語ってないんですよね。
 
本作公開から時は経ち、今や会話はスマホに阻害されている。好きな人と一緒にいるのに2人でスマホ。なんかもったいなくありませんか。
 
 
忙しく時はすぎる。会う時間と並行して会話も減っていく。世界は忙しくなりすぎた。まともに稼いでいても、もっと上を、もっといい暮らしを求める。
 
そんなことのために時間は費やされる。まるで「モモ」の世界。会話なんて必要最低限なことだけで済む。あの人の好きな映画を知っても、何の役にも立たない。
 
問題は自分の気持ちを伝えていないこと。相手の気持ちを知ろうとしていないこと。ちゃんと会話する時間をもっともっと作ればわかり合えるのに。
 
 
ろうそくの灯りで柔らかく照らされた空間。会話する時間はたっぷりとあるシチュエーション。だからこそ本音が出てくる。だからこそわかり合える。この「時間」はサンタクロースが忙しい人々に与えたプレゼント。
 
今夜、テレビを消して大切な人と他愛ないことをお話ししてみませんか。
 
 
 
hiroでした。
Merry Christmas!