50本目(10月19日鑑賞)


IMAXで体験できる感動
2001年宇宙の旅
 
監督・脚本:スタンリー・キューブリック/原作・脚本:アーサー・C・クラーク
出演:ケア・デュリア/ゲイリー・ロックウッド/ウィリアム・シルヴェスター/ダニエル・リクター/レナード・ロシター/マーガレット・タイザック/ダグラス・レイン
 
人類誕生前夜、サルの群れは土地を求めて争いが絶えなかった。ある朝、水辺を追われた群れの前に長方体の黒い石版が現れる。それに触れたサルたちは「道具」を使うことを覚え、争いに勝利する。
21世紀、人類は宇宙へ向けて飛躍的な進化を遂げていた。月面で発見された謎の石板が木星に向かって信号を送っていることを突きとめた人類は木星に向けて探査船を送る。
 
 
1968年公開。アポロ11号の月面着陸が翌69年。「人類の大きな一歩」を誰も見ていない時に撮られたというだけでもレジェンド。
 
その10年後の78年、日本でリバイバル上映があった。実はhiro、このときに本作をスクリーン体験している。12歳。理解できるわけもない(笑)。
 
さらに40年を経た今年、国立映画アーカイブで公開時と同じ70mmフィルム上映が再現され、続いてIMAX版の上映。hiroはIMAX版にて鑑賞。
 
 
劇場が明るいうちから音楽。これは入場曲。「END」後、明るくなっても続く音楽。これは退場曲。途中、17分のインターミッション(休憩)の間にも間奏曲。これ公開当時の再現なのだそうだ。
 
そして12歳のhiroがKOされたストーリー。その後原作小説で保管はしたが、ラストは説明できないまま。今回の再見で確信。説明なんかしなくていいのだと。
 
 
ストーリーは①人類の誕生、②AIの反乱、③謎のラストの3部構成。原作では①をもう少し丁寧に説明。映画は②に時間を割いているが①も②も同列なのではないのか。さも②が話の核のように書かれている「あらすじ」を目にするが、それには違和を感じる。
 
神またはそれに類する存在から知恵を授かった人には、体という物質的な概念と寿命という時間的な概念がある。その人が作り出したAIにはいずれの概念もない。AIを制圧した人が概念から解き放たれたのが③のラストなのかな。…具体的に何のことかは知らん。 
 
 
画面の両端がわずかずつ切れてる、なんてことにこだわりはない。なのでこのIMAX版は堪能しまくった。
 
IMAXといえば巨大スクリーンと音響。冒頭、画面の真ん中で割ったようなシンメトリーに配置されたモノリスと月と地球。このサイズ感はIMAXでないとありえない。
 
宇宙を浮遊するシーンでの呼吸音と静寂も、「静寂」という最難関の音響効果を実現できるIMAXの実力。オーケストラの壮大さもその真逆の効果を発揮。
 
 
IMAXを最大限に活用できたのはラスト。光と音に文字通り「包み込まれる」体験。「説明しなくていい」ラストは「体験」させるための時間だったのでなかったか。この「体験」をもって「2001」は完結する。
 
「2001」はSFやエンタメという枠をはみ出したひとつのジャンル。人類の創世。時間・空間の概念。生と死。多くの名匠巨匠が挑んできた命題。説明しすぎると浅くなり、説明しないと伝わらない。なんとも高いハードルだ。
 

40年ぶりに挑んだレジェンド作品。12歳より少し上がれた気はする。この名作をIMAXで観るという意味は大きい。「2001」を語りたいなら体験すべきだと思う。
 
 
 
hiroでした。
*再見作品は採点対象からは除外しています。