WOWOW鑑賞 怪優コプリー見参③

 
武力を持つということ
フリー・ファイヤー
 
監督・脚本・編集:ベン・ウィートリー/脚本・編集:エイミー・ジャンプ/製作総指揮:マーティン・スコセッシ
出演:ブリー・ラーソン/アーミー・ハマー/キリアン・マーフィ/シャールト・コプリー/ジャック・レイナー/サム・ライリー/マイケル・スマイリー
 
銃の闇取引に向かうフランク(マイケル・スマイリー)、ジャスティン(ブリー・ラーソン)、クリス(キリアン・マーフィ)らの一行。オード(アーミー・ハマー)を仲介に武器商人ヴァーノン(シャールト・コプリー)との取引を終えようとした時、武器を運んできたハリー(ジャック・レイナー)と見張り役スティーヴォ(サム・ライリー)の諍いから銃撃戦が始まる。
 
 
ほぼ一場劇。狭い工場内で銃を片手に対峙する人々。原因は下っ端同士の諍い。ところが一度銃を抜くと引っ込みがつかない。銃口突きつけ合って睨めっこ。以降、延々と続く銃撃戦。
 
皆思いは同じ。早く終わらせて帰りたい。殺し合う意味などないから。ところが「撃たないから撃つな」と言われても「嘘だ」という疑念しか湧いてこない。
 
 
あいつは怪しい、あいつがあいつの味方だ。疑いは大きくなり、最後の一人になるまで撃ち合いは続く。話はそれだけ。悪人だらけでヒーローなどいない。
 
この作品に意味などあるのか。教訓はあるのか。感動はあるのか。ユーモアはあるのか。疑い合い、殺し合い、オチからして救いようもない。
 
 
主役は特定できないがキャストは豪華。「ルーム」で注目のラーソン。いつもよりカッコいいのキリアン。「第9地区」のカメレオン俳優コプリー。本作はゲイ役ではないハマー。本作もチンピラのライリー。
 
観終えて得るもんないなーと思った。が、レビューを書き始めハイ・ライズ」のウィトリー監督だと知りピンと来た。特殊な状況に置かれて常軌を逸した人間観察視点が同じだ。
 
 
「ハイ・ライズ」は社会のカースト意識がテーマ。本作は武力の行使や放棄がテーマなのかと推察。「核兵器を放棄しなさい」と言う大国が核兵器を持っているという矛盾。銃社会を指しているようにも見える。
 
などとテーマは見えて来たものの、やはり問題提起で完結するこの監督は殺伐としていて苦手だ。
 
 
 
hiroでした。