WOWOW鑑賞

 
人として生きる姿
わたしを離さないで
 
監督:マーク・ロマネク/原作:カズオ・イシグロ/脚本:アレックス・ガーランド/音楽:レイチェル・ポートマン
出演:キャリー・マリガン/アンドリュー・ガーフィールド/キーラ・ナイトレイ/シャーロット・ランプリング/イゾベル・ミークル=スモール/チャーリー・ロウ/エラ・パーネル/サリー・ホーキンス/ドーナル・グリーソン
 
寄宿学校に暮らすキャシー(イゾベル・ミークル=スモール/キャリー・マリガン)、トミー(チャーリー・ロウ/アンドリュー・ガーフィールド)、ルース(エラ・パーネル/キーラ・ナイトレイ)の3人。外界と遮断されたその学校に新任教師ルーシー(サリー・ホーキンス)が赴任してくるが、授業中の発言が元ですぐに解雇される。数年が経ち、コテージという施設に移り住んだ3人はやがてくる「提供」の時を待つ生活を送る。
 
 
ノーベル文学賞受賞の日系英国人カズオ・イシグロのSF小説が原作。受賞時に放送されたものを録画して再見。
 
ある医療技術が認められたパラレルワールドの話。寄宿学校での少年少女の生活に感じられる違和。彼女たちが置かれた状況が徐々に明かされていく脚本がうまい。
 
彼らは何者か。何のためにそこにいるのか。
 
 
キャリーは当時からのスターで本作のセンター。「パイレーツ・オブ・カリビアン」でスターとなったキーラはキャリーをサポート。アンドリューは初のメインで出世作と言っていい。
 
シャーロット・ランプリングが要所で締めたり、今をときめくサリー・ホーキンスドーナル・グリーソンが出ていたり。今観ると豪華キャスト。
 
 
SFとはいえ宇宙人も超能力もなし。設定が架空なので近未来SF風味。そのSF的な設定での「もしも」の世界。
 
彼らは自分の使命が明確。制限時間もわかっている。それでも恋もするし夢ももつ。この残酷さ。たとえ人を救えたとしても、やはりこんな世界は間違っている。
 
…ここまでネタバレなし。ネタといってもふつうに「あらすじ」としてあちこちで書かれてる。それでも嫌な方はこの先はご本人の意思で。
 

以下ネタバレ。
 
…彼らは「臓器提供のために生まれたクローン」。人を救うために生まれて来た命。では救われない彼らは人ではないのか。臓器を培養するための器でしかないのか。器であっても人を愛し、絵を描き、生きたいと思う。
 
限られた時間を「人として」精一杯生きようとする彼らの姿を本作は描く。しかし、受け身すぎて痛い。感情を制御できないダメな子トミーが一番人間らしい。
 
 
 
hiroでした。