WOWOW鑑賞

 
そして、明日から
恋妻家宮本
 
監督・脚本:遊川和彦/原作:重松清/音楽:平井真美子
出演:阿部寛/天海祐希/菅野美穂/相武紗季/工藤阿須加/早見あかり/入江甚儀/佐津川愛美/浦上晟周/紺野彩夏/奥貫薫/佐藤二朗/富司純子
 
50歳を超え、一人息子も結婚して独立した陽平(阿部寛)と美代子(天海祐希)夫婦。二人だけの生活が始まった矢先、陽平は書棚の本に挟んであった美代子の署名のある離婚届を見つける。教師である陽平はショックを受けたまま、担任クラスの克也(浦上晟周)の家庭問題に向き合うことになる。
 
 
軽い気持ちで観てみた。これ、いい。
 
遊川監督はテレビ出身。そういう方が陥りがちな「テレビっぽさ」がない。基本コメディだが悪乗りも軽さもなく、笑いが適度。お涙頂戴も行き過ぎすぎ、何事も絶妙な匙加減。
 
陽平の教師話を噛ませたのがたぶん正解。夫婦コメディから「人生の選択」へとテーマが昇格。重松清の原作「ファミレス」は未読だが、群像劇を整理したのかなぁと推測。この脚本はうまい。
 
 
人物の配置がベスト。陽平と美代子、陽平と息子夫婦、陽平と生徒たち、陽平と料理学校仲間、若い頃の陽平と美代子。人物が場面ごとに割り振られ、被らないのでわかりすい。
 
キャスティングも絶妙。阿部ちゃんの情けなさは折り紙つき。天海さんが珍しく「弱さ」を出すので新鮮。菅野美穂相武紗季がいいスパイス。工藤阿須加も頑張ってて、佐藤二朗が美味しすぎる。
 
 
進学、就職、結婚、育児、退職…人は岐路に立たされるたびに選択に迫られる。彼女と彼氏、妻と夫、母と父…立場によって呼び名も変わる。大概はその都度お互いの関係性を見直し、調整し、選択する。
 
昨日までの自分を見直し、明日を選択する。それは必要なプロセスなんだと思う。吉田拓郎の名曲を被せる妙義。ちなみに拓郎の「今日まで、そして明日から」はhiroのライフソング。
 

 

本作、夫婦の考えの違いがひとつのテーマ。とてもよくできてるのでリアル。身につまされることもあったりで、自分たちの関係性を見直すきっかけにもなる。それ故、鑑賞後の軽率な言動はやばい空気になることもありそう。笑


「正しいけど、優しくない」…が印象的。正義をかざして正論を吐いてればいいのか。正論は時に人を傷つけ、正義の味方は疲弊するもの。常に正解を求めていた陽平は、優しい答えがあることに気づく。


最近、正義が正論が世の中に氾濫している。「…すべき」「ふつうは…だ」と。少々生きにくくないか? 正解はひとつだけじゃないのに。



 
hiroでした。