16本目(3月10日鑑賞)

 
気持ちを伝えるのに言葉はいらない
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坂道のアポロン
 
監督:三木孝浩/脚本:高橋泉/原作:小玉ユキ/音楽:鈴木正人
出演:知念侑李/中川大志/小松菜奈/真野恵里菜/野間口徹/中村梅雀/ディーン・フジオカ
 
叔母の病院を継ぐために東京から長崎に転校した薫(知念侑李)。長崎での暮らしに馴染めない薫が拠り所にしたのはクラス委員の律子(小松菜奈)の父(中村梅雀)が経営するレコード店の地下…バンドセットと防音設備の整った音楽スタジオだった。学校でも浮いた存在の千太郎(中川大志)の叩くドラムと薫の弾くピアノのセッションは薫にとって唯一の幸せな時間だった。
 
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三木監督、ありがとう。
 
三木監督の作品は相性がとてもよい。特に音楽作品となると大鉄板と言っていい。当然本作、初めて予告を見た瞬間から期待値MAX。なのに、それを超えてくるのだからお礼を言うしかあるまい。
 
監督のもうひとつの十八番「アオハル」も絶妙ブレンド。スタバじゃ出せない名人芸。3人の活かし方がベスト。見事なキャスティングに唸る。
 
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オープニングからカッコいい。1966年だという。hiroが生まれた年の長崎。まだこんなにメリケンくさかったのか。長崎だからジャズで「坂」なんだ。
 
「人には2種類ある。スウィングするヤツとしないヤツだ」の名言は名作音楽劇「スウィングガール」から生まれた。ジャズはスウィング。演奏して揺れる。聴いて揺れる。ビートが刻まれれば縦揺れも加わる。
 
セッションだ。魂をぶつけ合い、曲を奪い合う。だから同じ演奏はない(「ラ・ラ・ランド」セブの解釈より)。「怖がってないで飛び込んでこい」…千太郎の言葉が壁のなかでじっとしていた薫を光の下に引っ張り出す。
 
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知念くんは心の振り幅の大きい難役。「未成年だけどコドモじゃない」は彼でなくてもできる役だが、本作、彼しかいない。大志くんはスケール感もあってまだまだのびしろだらけ。ニヤリと睨む表情が好き。今後も期待。
 
菜奈ちゃんは受け身の位置。もう少しスパイスを効かしても良かった。ディーン・フジオカ真野恵里菜も重要な役を好演。が、メイン3人の活躍に霞んだ。いや、一歩引いているのが味わい。
 
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メインは薫と千太郎の友情。友だちなんていなかった2人が律子を介して出会う。2人をつなぐのはジャズ。なぜ、ジャズなのか。ジャズはセッションだから。
 
2人の間に言葉はいらない。ジャズがあるから信じ合える。たっぷり挿入されるセッションシーンに自然にスウィング。2人のアイコンタクトに涙する。三木監督、ありがとう。
 
 
 
hiroでした。
 
 
 
脚本8 映像7 音響8 配役9 音楽9
41/50