98本目(12月12日鑑賞)FP①
笑いの下にあるのは「希望」
泥棒役者
監督・脚本:西田征史/音楽:遠藤浩二
出演:丸山隆平/市村正親/石橋杏奈/ユースケ・サンタマリア/宮川大輔/片桐仁/峯村リエ/高畑充希
元泥棒のはじめ(丸山隆平)はその筋から足を洗い、溶接工をしながら恋人の美沙(高畑充希)と暮らしていた。ある日、泥棒時代の先輩則男(宮川大輔)が現れ、手伝わないと美沙に過去をばらすと脅される。絵本作家前園俊太郎(市村正親)の屋敷に侵入したはじめは前園本人や訪問セールスの轟(ユースケ・サンタマリア)、編集者の江里子(石橋杏奈)らと次々鉢合わせ、その都度苦しい嘘で乗り切る。
「小野寺の弟小野寺の姉」の西田監督の舞台劇を映画化。ほぼワンシチュエーションのコメディ。面白かったし、まさかのホロリも。
初対面の泥棒、作家、編集者、セールスマンが互いのことを別の人物と思い込む。噛み合わないはずの会話が噛み合ってしまう。こういう手間のかかる脚本は好き。
丸ちゃんの人柄そのままな主人公が物語の中心。この手の話は真ん中がブレないとわかりやすくてよい。本作での相方市村さんが本気の「おふざけ」で画面を締める。
曲者ユースケのかき回しも名人芸。内村Life組杏奈ちゃんが魅力的で本作一番の破壊力。本気でコメディエンヌを目指してほしい。そして本作のマドンナ充希ちゃんは本格的に可愛い。こんなできた子、いる?
爆笑コメディではなく、終始クスクスと笑いが漏れるタイプ。芸達者たちの演技力と絶妙の配置。舞台を観ているような心地よい鑑賞時間。
…と笑いでコーティングしていても、テーマは「希望」だったりする。どこかうまくいってない人へのエール。絵本作家宅に偶然集まった面々。みんな後悔を抱えて生きている。
「タマトミキ」は教えてくれる。後悔から逃げてはいけない、と。そしてタマは我々に言う…「まだ終わってないニャ〜」
FP1本目としては地味だと思ったが、今週上映終了と知って滑り込み観賞。結果、観て正解。ただ「面白いかも」と興味をもっていただいても終了では意味がない。
西田監督ならではの「遊び」もあるが…気づかない方も多そうだ(笑)
hiroでした。
脚本8 映像7 音響6 配役7 美術8
36/50