48本目(6月3日鑑賞)

 
表現者たちの「光」
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監督・脚本・編集:河瀨直美
出演:永瀬正敏/水崎綾女/神野三鈴/小市慢太郎/白川和子/藤竜也/樹木希林
 
映画の音声ガイド製作会社の美佐子(水崎綾女)は、映画「その砂の行方」のプレゼンで弱視の元カメラマン中森(永瀬正敏)に「ガイドがないほうがマシ」と批判される。中森に興味を抱いた美佐子は彼の写真集に収められた一枚の写真に目を止める。
 
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映像美がウリの河瀨監督が、あえて映像のない世界に「光」を当てる。視覚障害者向けの音声ガイド。前作「あん」のガイド製作に携わった際の発案なのだそうだ。
 
主観の押し付け、想像力…文章、画像、デザインで伝えることを生業としている一編集者にとっても身につまされる金言の数々だ。
 
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想像力。美佐子のガイドに耳を傾ける。目を瞑って映像をイメージする。わざわざシアターに足を運びながらスクリーンを見ない…そんな経験は初めて。
 
一方で、映像へのこだわりは従来のまま。日常のすぐそばにある自然。木々や葉の「生」が感じられる映像の強さは息を飲む。自然の「音」と共に河瀨ワールドは健在だ。
 
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河瀨監督はフィクションとノンフィクションの狭間という印象。綾女ちゃんは自身でガイドの脚本にトライ。写真家を祖父にもつ永瀬もセットや写真集を彩る写真を提供。劇中劇「その砂の行方」も映画撮影のスタイルで別に撮影。本作のノンフィクション臭さはこの辺から出てくるのか。
 
徐々に視力が失われるカメラマンを演じた永瀬は賞レベルの演技。「進撃の巨人」で初認識の綾女ちゃんはアップが多くて大満足。神野三鈴藤竜也の位置取りが素敵で、映画作りに携わる妻に寄り添う小市慢太郎の声も心地よい。
 
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ラブストーリーに挑んだ本作だが、二人が惹かれ合う行程や夕日の写真のエピソードはやや弱い。「珠玉のラブストーリー」のキャッチには違和感。ただ、最後のナレーションが鳥肌で、マイナス点は帳消し。
 
「その砂の行方」の主人公が見た光、視力を失う中森の見る光、美佐子が見る光。それぞれの「光」を重ね合わすラスト。「光」の表現者である河瀨監督の「光」はどれであったか。
 
 
 
hiroでした。
永瀬と同い年のhiro。20代との恋にムフフ。綾女ちゃん、一般男性と結婚されているのを知り、軽くショック(笑)
 
 
 
脚本6 映像9 音響9 配役8 音楽7
39/50