42本目(7月4日鑑賞)

 
1950年代がスクリーンに蘇る
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ブルックリン
 
監督:ジョン・クローリー/脚本:ニック・ホーンビィ/原作:コルム・トビーン/音楽:マイケル・ブルック
出演:シアーシャ・ローナン/エモリー・コーエン/ドーナル・グリーソン/フィオナ・グラスコット/ジェーン・ブレナン/アイリーン・オイヒギンス/ブリッド・ブレナン/ジム・ブロードベンド/ジュリー・ウォルターズ
 
1950年代、不況下のアイルランド。聡明で美しい姉ローズ(フィオナ・グラスコット)が経理職に就く一方、妹エイリッシュ(シアーシャ・ローナン)にはまともな職がない。ローズの計らいでアメリカにいる旧知のフラッド神父(ジム・ブロードベンド)にニューヨークでの仕事を世話してもらい、単身、渡米するエイリッシュ。家族と離れた生活にホームシックに陥るが、イタリア系移民のトニー(エモリー・コーエン)と出会い、次第にブルックリンでの生活に馴染んでいく。そんな矢先に思わぬ悲報が舞い込んでくる。
 
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一人の移民少女の成長記?青春ロマン?…どれもそうだけど、正解でもない。
 
エイリッシュは、単身アメリカに渡り、躓きながらも神父や寮母、職場の上司、寮の悪友たちに支えられて自信を付けていく。ところが、後半、アイルランドに帰国してからが、いい子ではない。結構ひどいことをする。土下座もの。残ったお母様、なんて釈明するのかな。
 
「かわいいふりしてあの子、割とやるもんだね、と♪」…青春だから棘だってある。移民だという状況以外はふつうで、どこにでもいる女の子なのだ。
 
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1950年代のNYとアイルランドの景観が美しい。
 
荒涼としていて、寂しくて、それでいてどこか懐かしいアイルランドの原風景。カメラが捉える草原や荒波打ち寄せる浜が、どこか日本と似ていないか。
 
一方、マンハッタンの建設ラッシュに沸くアメリカ東海岸。「仕事がある」から世界中から人が押し寄せる。ダウンタウン~ブルックリンの創成期の活況。
 
オープンセットや小道具の数々が美しく丁寧で、美術スタッフの仕事に頭がさがる思い。
 
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若手実力派の一人ローナン。いい子でない女の子の「素顔」を媚びることなく好演。オスカーノミネートもうなづける。彼女あっての作品と言って過言ではない。目がいい。
 
アバウト・タイム」以降活躍がめざましいドーナル・グリーソン。二番目のクレジットは大袈裟。ドーナルほかアイルランド俳優が多数出演。みなさん印象的で素晴らしく、嫌われ者のケリーさん役ブリッド・ブレナンがキーパーソンでおいしい役どころ。
 
トニー役コーエンは役得な感じ。
 
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これ、アメリカ映画ではなくイギリス映画らしい。タイトルもアメリカっぽくて、話もアメリカ賞賛な空気。アイルランドの田舎レベルも高く、アイリッシュを好意的に描いてはいない印象。でも、アイルランドの方々が出演してるので、考え過ぎかもしんない。
 
アイリッシュな音楽やダンス、もっとあってもよかったかな。見た目や発音だけじゃ、我々わからないもの。マンハッタンの建設を支えた男たちのシーンは良かったなぁ。
 
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なんだこの子は、と思うくらい、後半のエイリッシュはけしからん(笑)。それでも、終盤の甲板上での気の利いた会話で成長記であることがわかるし、見応えもある。美術スタッフもよくて、アイルランドのシーンなど風さえ感じたし、ブルックリンの時代感もよく出てた。
 
アイリッシュの噛ませ方だけ半端だった。エイリッシュがアイルランド人である理由。そこだけ悶々。そんなん混ぜると硬派路線になっちまうか。
 
 
 
hiroでした。
 
 
 
脚本6 映像8 音響6 配役8 美術9
37/50