28本目(5月16日鑑賞)

 
この世界にいらないものなんてない
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世界から猫が消えたなら
 
監督:永井聡/原作:川村元気/脚本:岡田惠和/音楽:小林武史
出演:佐藤健/宮﨑あおい/濱田岳/奥野瑛太/石井杏奈/奥田瑛二/原田美枝子
 
突然脳腫瘍を宣告された青年(佐藤健)。ショックを受けて帰宅すると、真っ暗な部屋に自分とそっくりな男がいた。悪魔だと名乗る男は、世界から何かひとつ消すたびに、寿命が1日延ばせるという。
 
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「生と死」にまつわるファンタジー。やや強引な展開は原作者の力みの問題か。夢オチに近い印象で物語性は弱く、評価が低い方の言い分はこの辺か。
 
ところがどうだろう、鑑賞後のこの余韻。死にゆく若者なのに、爽やかでさえある。原作未読で予備知識ゼロだが、川村元気は親い人を亡くしているのではないか。岡田惠和の脚本がそこに「優しさ」を練り込む。仕上げのコーティングには小林武史の音楽と函館の風景。
 
ヒット小説にプラスアルファを加味して映画作品に仕上げる。エピソードにも「映画」が重要な位置。映画に携わるものが描いた映画向きの原作ということか。

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現実と虚構の入り混じった本作。辻褄が合わない部分もある。合う部分と合わない部分を選別すると、セリフにはないメッセージを受け取れた気がした、hiroの場合。
 
「世界から僕が消えたら何かが変わるのだろうか」が鍵穴。消えていくあれこれが鍵。死を受け入れた主人公が悪魔に語る世界の成り立ち。「この世界は…」のセリフの後の、あえてセリフにしなかった言葉がそれではなかったか。
 
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健くんの二役は「仮面ライダー電王」を思い出した。若いのに器用。ベストセラー小説の映画化作品常連の宮﨑あおい。大好きなのでニヤニヤ。キャラは「舟を編む」に近い。濱田岳は脇の演技を熟知。「最期の一本」を探す件(くだり)、グッときたなぁ。
 
原田美枝子奥田瑛二の夫婦が絶品。原田さんの病メイク&芝居に女優魂。10年早く生まれてたら惚れてた、いや、今でも惚れそう。口数少ない奥田瑛二も魅力的。ひたすらに時計を直す、その朴訥さがよい。キャラクターを絞った配置もわかりやすくて好感。
 
ラストの「ひずみ」の歌詞がハマりすぎる。小林武史由来でSalyuかと思った。HARUHI…17歳ですと。こりゃ凄い娘がいたもんだ。

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涙が止まらない方が多いらしい。hiroは死だの別れだのに感傷は持てなかった。死は誰にも訪れ、誰の周りにも起こる。感傷に浸るよりも、幸福感の中で死を受け止めたい。死んでも世界は何も変わらない、誰も悲しんでくれない…そんなことはない、絶対。主人公が幸福に気付くラストがよい。
 
親い人の死を経験したかしてないかで、本作の見え方がかなり違う気がした。


 
hiroでした。
 
 
 
脚本7 映像8 音響7 配役9 音楽8
39/50
 
どんなメッセージだったか?
はずれてるかもしれないから言えないよガーン
それを探すのも映画の楽しみ。
 
と言いつつ、一番最初に書いたけどニヤリ