WOWOW鑑賞 突然!マット祭②

 
環境保護を訴えるのは簡単なのです
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プロミスト・ランド
 
監督:ガス・ヴァン・サント/製作・脚本:マット・デイモン/ジョン・クラシンスキー/原作:デイヴ・エッガース/音楽:ダニー・エルフマン
出演:マット・デイモン/ジョン・クラシンスキー/フランシス・マクドーマンド/ローズマリー・デウィット/ハル・ホルブルック
 
シェールガス景気に沸く北米では、採掘権の取り合いが過熱。エネルギー企業の土地担当スティーヴ(マット・デイモン)とスー(フランシス・マクドーマンド)も、採掘権契約のためにペンシルベニアの農村を訪れる。住民説明会を開くが反対派の中心人物フランク(ハル・ホルブルック)が意外な大物だと判明。環境保護団体のダスティン(ジョン・クラシンスキー)も現れ、作戦の練り直しを余儀なくされる。
 
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どちらが善でも悪でもない。人それぞれの事情がそこにある。
 
シェールガスのことは、ちょっと前に池上先生の番組で知ったばかり。で、このシェールガス。なにやら、ネクスト・リーマンになりかねない、キナ臭いことになっている模様。そう言ってました、番組で。
 
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土地の奪い合い。ブラックコメディにも、環境問題に目覚める熱い政治劇にも…いかようにも描けた題材。本作、どれでもない。監督ガス・ヴァン・サント、脚本マット&ジョンが仕掛けたのは、どちらが善でも悪でもないドラマ。
 
最終的なマットの選択から、主張の方向性は見て取れる。それでも、賛成派住民を悪く描くことはない。ドキュメンタリー風に畏まることもなく、ドラマとして成立しているからわかりやすい、今北米で起きていることが。
 
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ガス&マットです。「グッド・ウィル・ハンティング」です。それだけでワクワク。「グッド…」同様、本作も脚本担当のマット(製作も)。映画が好きでしょうがないのが伝わる。本作はサラリーマンでマッチョは封印。いい具合の四十男ボディ。マットとの共同脚本に名を連ねるジョン。俳優兼ライターで、本作、環境活動家役で出演。マットとの関係性、今やバットマンとなったマットの盟友を彷彿。今後も注目か。

スー役のフランシス、押しの強い役が多い。ここでも押せ押せだけど、なかなか「女」を見せている。ジョエル・コーエンの奥様だとは今回知った。劇中セリフ「ダメ夫に子供預けてきてるんだから…」ってネタなのか? ヒロインのローズマリー・デウィットは影うすめ。

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かっちょよく収めるなら反対路線に乗っかればいい。経営側の悪巧みも用意されている。ところがマーケットのオーナーが賛成派でいいヤツだったりする。同じエネルギー資源の話だからなのか、妙に日本の原発行政を連想させる。
 
産業の弱体化した自治体や住民にとって、補助金や権利で得る収入は死活問題。受け取ることを責めることはできない。一方で、そこに賭ける原資も、失敗したら取り返しのつかないもの。沖縄の基地問題も類似案件。本作で扱うシェールガスは、まだ結論が出ていない。それゆえのどっちつかずなのか。投票結果まで盛り込まないのか。
 
言えるのは、結論が出てからでは遅いということ。
 
 
 
hiroでした。