83本目(10月12日鑑賞)

 
届けよう、この想い
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図書館戦争
THE LAST MISSION
 
監督:佐藤信介/原作:有川浩/脚本:野木亜紀子/音楽:高見優
出演:岡田准一/榮倉奈々/田中圭/福士蒼汰/松坂桃李/橋本じゅん/西田尚美/相島一之/土屋太鳳/波岡一喜/螢雪次朗/手塚とおる/デビット伊東/栗山千明/石坂浩二
 
国の検閲に唯一対抗し得る勢力である図書隊。メディア良化隊との争いが激化する中、第三勢力・未来企画の動きが活発化する。そんな折、図書隊防衛部の笠原(榮倉奈々)は、かつて大切な本を検閲から守ってくれたのが上官の堂上(岡田准一)だと気付き心が揺れる。

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「図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする。」で始まる日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言」は以下に次の4章を謳う。
第1 図書館は資料収集の自由を有する
第2 図書館は資料提供の自由を有する
第3 図書館は利用者の秘密を守る
第4 図書館はすべての検閲に反対する
(以上日本図書館協会HPより引用)

前の記事にも書いた。この宣言はフィクションではない。図書館員の業務は「任務」である。そしてもし「検閲」という最悪の統治が行われれば…図書館はきっと立ち上がる。…これはワクワクだ。弾圧の矢面に立たされる罪なき本。検閲する側も守る側も、1冊の本は「自由」そのもの。

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前作は劇場鑑賞。先日のドラマ版も鑑賞。小説家有川浩がこの宣言から発想を得たと知ったのはその後。観る目がガラリと変わった。自由の象徴である本。匿名で容易に修正、削除ができるネットとは違う。執筆して編集して印刷製本して読者の手元に届けば、それは作り手の責任を伴う想いである。その本を破壊し焼却する映像は、映画とはいえ観ていて辛い。
 
だからこそ、高見優の勇壮な音楽をバックに本のために立ち上がる堂上の雄姿に、笠原同様打ち震える。本造りに携わってきているhiroだからかもしれないけれど。
 
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岡田准一、榮倉奈々、田中圭福士蒼汰橋本じゅん(少し太った)、西田尚美相島一之(敵だけど)、栗山千明らレギュラー陣は安心の顔ぶれ。珍しくいい役の波岡一喜は前作も出てたのかな。
 
松坂桃李はドラマ版チョイ出からラスボスに。桃李君は、映画のほうが幅があってよい。一方、土屋太鳳はドラマ版未見の方には唐突。手塚とおるは、あの手の役が多いね。石坂浩二さんも健在。本を愛してやまない児玉清さんは永遠のレギュラー。
 
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原作にどう描かれているのか不明だが…本が自由の象徴なら、顔のない良化隊の無数の兵が無関心な群衆の象徴。この兵がわらわらと大幅増員。これが本作の真の敵。こんな社会は嫌だと思いながら、自分が顔のない兵の一人だと感じたことはないか。
 
流されていればいつの間にか支配されている。それが嫌なら意見を持とう。発言しよう。その想いを、届けよう。
 
 
 
hiroでした。
出版、編集の話だと熱くなっちまう。
 
 
 
脚本8 映像8 音響7 配役8 他(音楽)9

40/50