80本目(10月4日鑑賞)

手作りなんだ、漫画も映画も
bm1
バクマン。

脚本・監督:大根仁/原作:大場つぐみ/小畑健/音楽:サカナクション/VFX:阿部伸吾/エンドロール:easeback
出演:佐藤健/神木隆之介/染谷将太/小松菜奈/桐谷健太/新井浩文/皆川猿時/宮藤官九郎/山田孝之/リリー・フランキー

サイコー(佐藤健)の絵の素質を知った同級生のシュージン(神木隆之介)は、一緒に漫画家になろうと持ちかける。高2で進路も決めていないサイコーはこの誘いに乗り、2カ月で処女作を描き上げて少年ジャンプ編集部に持ち込む。編集部の服部(山田孝之)は2人の将来性を見込み、新人漫画家の登竜門手塚賞に応募するよう提案。初応募で準入選となった2人は、授賞式で同じ高校生の天才新妻エイジ(染谷将太)と出会う。

bm2

原作未読。面白かったー。

ツボがいくつも。そのひとつが出版・編集の地味さ。漫画も手作業なら編集も手作業。無駄と言われようがコツコツやるしかない。「舟を編む 」で書いたけど、hiroの職場がそう。地道にコツコツやれば形になる。普通にやってたらそれなりのものしかできない。やったらやった分だけの達成感がある。だから、この仕事続けてる。

編集部の山田君のデスク。積まれた書籍の中に我が社の制作物(詳しく書けない)が置いてあってテンションが上がったり。(笑)

bm3

ツボ2。漫画同様映画も手作り。3人のバトルシーンのCGが出色だが、注目は、そこもCGだと思っていた2人の執筆シーン。白いケント紙上を走るサイコーのペンから生まれ出る線画。シュージンのペンから塗りが浮き出す。実はアナログ撮影。あらかじめ拵えた映像をプロジェクション・マッピングで投影し、画に合わせてペンを動かし撮影するという凝りよう。バックにめまぐるしく動く漫画原稿も大道具だったのではないか。手間を厭わない大根イズムに感服の図。

bm4

ツボ3。キャラの作り込みに卒倒。サイコー・シュージンの二人も霞む、漫画家たち編集者たちの個性。中でも染谷演じる天才エイジが壮絶。それぞれの関係性も明らかにhiroのツボ。認め合い凌ぎ合いの切磋琢磨。「ラッシュ/プライドと友情 」「セッション 」にも通じる。大好物。

ツボ4。音楽のサカナクション。単なるエンディング曲でなく「音楽」担当であったことに拍手。

エンディングといえばエンドロールもツボ。手渡された脚本のト書き「映画史上類のないエンディング」に応えたグラフィックデザイナーeaseback。ホントに類がない。多くは語らない。ぜひご覧いただきたい。

bm5

好評な本作。hiroも褒めまくった。ただひとつ、高校生の彼らの親の存在のみ気にかかる。原作には描かれているのか。勢いのみで彼らが成功する理由も描けてはいない。

が、大根仁はそれでいい。MANGAというニッポンカルチャーを、見たこともないビジュアルでシェイクした動く漫画。画的な感嘆に込み入ったストーリーは邪魔。「モテキ 」ほど振り切れてはいないが、これはフランスとか南米で上映したらウケるわきっと。



hiroでした。



脚本6 映像10 音響9 配役9 他(VFX)8

42/50