BD鑑賞


そこに希望があるから

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そこのみにて光輝く


監督:呉美保/原作:佐藤泰志/脚本:高田亮/撮影:近藤龍人

出演:綾野剛/池脇千鶴/菅田将暉/高橋和也/伊佐山ひろ子/田村泰二郎/火野正平


砕石場の仕事を辞め、函館の街でふらふらしていた達夫(綾野剛)。パチンコ屋で知り合い意気投合した拓児(菅田将暉)の家に連れて行かれ、拓児の姉千夏(池脇千鶴)と出会う。何かを諦めたような生活を送っていた二人の距離は次第に縮まるが、千夏と拓児の暮らしぶりも明らかになっていく。


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みなさんの評価が大変高い。あえて余計な情報を入れずに鑑賞。


印象的なのが菅田君の天使ぶり。しんどい状況のはずなのに、笑顔が絶えない拓児。それしか生き方を知らないのだから。菅田君の無垢な笑顔が拓児のピュアさとシンクロ。彼がいたからこの完成度。惚れるな。


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池脇さんのなりきり度も高い。「ジョゼと虎と魚たち」でもそう。実力を証明。本作の千夏がジョゼとかぶる。


トップクレジットは綾野剛。まじまじと観たのは初めてかも。新鋭菅田君、実力派千鶴ちゃんとの共演に化学反応か。抜群の存在感を発揮。

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闇でもがく若者3人。手を伸ばしても届かない光。やがて諦め、もがくのをやめた時、彼らの前から光は消える。果てのない闇に包まれる。


彼らの姿を追う近藤龍人のカメラは、アンダーで暗い。逃れられない闇の深さを切り取り、描く。この暗さがあるゆえ、ラスト、海岸の朝日の光が眩しく美しい。


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暗い、重い、切ない、(エロい)…そんな感想をよく目にした。掴みかけた幸せが、指の間をすり抜けるように零れ落ちる。結局は幸せになれない…そんな思い。


そうかなぁ、と思った。思い通りいかない度にひとつひとつ何かを捨ててきた千夏。達夫と拓児と3人、一歩踏み出そうとした矢先の転落。でも、今度は達夫がいる。大切なものを手に入れた千夏には希望があって、光輝いている。


前向きな話に思えた。




hiroでした。

ジョゼがつかめなかった幸せを千夏がつかんだ…そんな感じ。