72本目(9月1日鑑賞)

 
昨日と違う景色が見える
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ロマンス
 
監督・脚本:タナダユキ/音楽:周防義和
出演:大島優子/大倉孝二/野嵜好美/窪田正孝/西牟田恵
 
小田急ロマンスカーの車内販売員・鉢子(大島優子)は、勤務中、カートから商品を万引きしようとした男(大倉孝二)に遭遇。箱根湯本駅で逃げようとした男を追いかけ、乗車予定だった上りのロマンスカーに乗り遅れる。
 
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噴火警戒レベルの引き上げで、立ち入り地域が制限されている箱根。その箱根を舞台にしたプチロードムービー。
 
四十九日のレシピ 」のタナダユキ作品。ミラクルも起きないし、感動の涙もない。タイトルに反し、素敵なロマンスもない。彼女の描くのはちょっとした変化、ちょっとした幸せ、ちよっとしたロマンス。
 
新宿から約90分の小旅行。上映時間も100分にちょっと足りない97分。日常に起きた小さな変化に、このスケール感がちょうどいい。

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箱根を知る人は、観光地間の距離、その移動方法の整合性が取れていないことに気づく。箱根好きなhiroも気づいた。が、観光ガイドではないのでスルー。

アイドル無知で、優子ちゃんの演技もほぼ初。何の違和感なく、ちゃんと演者でした。相方は大倉君。映画好きなら慣れた顔。いつも通りのキャラでこれほど前面に出てくることはまれ。意外と言っては失礼ながら役にマッチ。とてもよかった。

人気者窪田正孝がゲストっぽい。母同様、「男運のなさ」の象徴ならば、もう少し活用できたキャラだった。エンディング後に鉢子とどうなったのか、想像する余地は意図的なものか。同僚役の野嵜好美、母親役の西牟田恵も個性派でスパイシー。

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ロマンスになど発展しそうにない二人の掛け合いがいい。普段のキャラを壊さずに成立してるのがまたいい。本作タナダ監督自らの脚本。二人を気に入っているのがよく伝わる。二人並んだショットが多い。のっぽの大倉君と華奢な優子ちゃんの視覚的バランスが絶妙。

一通の手紙から箱根の旅が始まる。それは鉢子の幸せな想い出を巡る旅。それを演出したのがおっさん。ただのお人好しのおせっかいかと思いきや、彼もまた大きな荷物を抱えていた。一人になって孤独になったり、一緒にいるのに遠い存在だったり。偶然出会った赤の他人となぜか寄り添えてしまう。その場限りだとしても、それはそれで小さなロマンスなのかな。

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初対面の二人の一泊二日の箱根旅行。隠微な響きと裏腹に、事件もなしにいつもの日常へ。でも、二人に見えてる景色は、昨日とはちょっとだけ違うのだろう。旅っていいね。
 
更新日現在では立ち入りできない大涌谷はじめ、観光フィルムばりに箱根の名所が盛りだくさん。

あ~、行きてえよぉ。
 
 
 
hiroでした。
 
 

脚本7 映像8 音響6 配役7 他(ロケ地)9

37/50