39本目(5月19日鑑賞)


メンタルヘルス教本

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脳内ポイズンベリー


監督:佐藤祐市/原作:水城せとな/脚本:相沢友子/音楽:井筒昭雄

出演:真木よう子/古川雄輝/成河/西島秀俊/神木隆之介/吉田羊/桜田ひより/浅野和之/野波麻帆/岡本玲/カンニング竹山/ともさかりえ


30歳の誕生日を迎えたいちこ(真木よう子)は、偶然出会った7歳年下の早乙女(古川雄輝)のことが頭から離れない。その頃いちこの頭の中では、理性吉田(西島秀俊)を議長にボジティブ石橋(神木隆之介)、ネガティブ池田(吉田羊)、衝動ハトコ(桜田ひより)、記憶岸(浅野和之)による会議が続けられていた。


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頭の中と外。このアイディアはいい。頭の中という仮想空間…「キサラギ」で一場劇の快作を撮った佐藤監督向きの企画なんだろう。会議室のバラバラそうで妙な一体感がある空気、いいですね。

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思考を形成する、理性、ポジティブ、ネガティブ、衝動、記憶が会議する。いちこの頭の中はネガティブ池田が強いので、恋愛下手で、引っ込み思案。感情を擬人化したスタイル、実は脳の働きがとてもわかりやすい。ポジティブが機能しなくなるとうつ、ということか。

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会議室のやり取りと現実世界をつなぐのはいちこの目。みんなでモニタを見たり、過去の記憶を再生したりと、これも納得。思い出してる時に浮かぶ映像って、たぶんこれのこと。

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会議室の面々が個性的。これが本作最大のウリ。特に強烈なのがポジティブ石橋のハイテンションとネガティブ池田のキレ。多数派主義の理性吉田もよいキャラ。いったいメガネを何本持っているんだ(笑)。会議室の人々のポテンシャルが作品をリードする。

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コミックが原作。リアルの時間経過と会議の時間経過にタイムラグがあり、テンポが切れ切れ。これが、実写化のデメリット。コミック的な構造ゆえ、致し方なし。舞台ならもっとフィットしそう。

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女子コミは独りよがり世界だと思っている。読者が主人公。登場するイケメンもお笑い担当もどこか記号的で、物語のピースでしかない印象。本作、二人の男がピースに見えるのは同じだけれど、主人公いちこの「自分」が見えてこない。会議室の面々が「自分」そのもののはずなのに。

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そこが女子コミ的でない、と思っていたら…ラストでいちこは立派な女子コミ主人公になる。女子コミ主人公が好きか嫌いは別として、一歩一歩自分の足で前進するいちこの心情は、晴れやかで爽やかで勇敢だ。

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早乙女推しの予告はどうしたことか。やはり顔なのか。年齢のせいか越智くんに一票。ってか、いちこ、越智くんに酷いことしてんぞ。


真木さん好きなのですが、本作も可愛いと評判のようですが、どうにもいちこに共感できず。トラウマがあるにしても30歳でこれは、容姿が真木さんでも引くなぁ。自分の足で歩き始めたいちこの明日に期待。


脳の中と外、感想が割れた感。



hiroでした。
忘れっぽくなったのは岸さんが寝てるせいだと判明。


脚本7 映像6 音響6 配役8 他(美術)7

34/50