26本目(3月27日鑑賞)
 
ざわざわっと
sg1
ソロモンの偽証 前篇 事件
 
監督:成島出/原作:宮部みゆき/脚本:真辺克彦/音楽:安川午朗
出演:藤野涼子/板垣瑞生/石井杏奈/清水尋也/富田望生/前田航基/望月歩/西村成忠/若林時英/西畑澪花/加藤幹夫/石川新太/佐々木蔵之介/夏川結衣/永作博美/塚地武雅/池谷のぶえ/高川裕也/江口のりこ/市川実和子/田中壮太郎/嶋田久作/田畑智子/小日向文世/黒木華/木下ほうか/安藤玉恵/松重豊/余貴美子/尾野真千子
 
1990年、東京に大雪が降ったクリスマスの早朝、城東三中に登校した藤野涼子(藤野涼子)と野田健一(前田航基)の二人は雪に埋もれたクラスメイト柏木卓也(望月歩)の遺体を発見する。警察は卓也の死を自殺と断定するが、後日、校長(小日向文世と学級委員の涼子の元に告発状が届く。告発状には、卓也がクラスメイトの大出俊次(清水尋也)らのいじめによって殺されたと記されていた。
 
sg2
 
ざわつくのです。
 
桐島が部活をやめただけで浮き足立つ世代。クラスメイトが自殺なんかした日には…。追い討ちをかけるように、後から後から持ち上がる疑惑。何も知らされない子供たち。ジレンマ。疑心暗鬼。ざわつきは隣人から伝播し、連鎖が広がる。
 
大人たちの言い分。子供たちのことを思ってのこと。それは大人の愛情。ただ、真実が知らされない子供たちはざわざわが募る。どんな色にも染まり、触れれば壊れてしまいそうな、若者の感性。守られているのはわかっているけど真実を知りたい。理不尽でも、それが思春期の棘。
 
sg3
 
心理サスペンス…なのかと思えば…。
 
少女がいじめられる。気分が悪くなる暴力描写。そして彼女は腹に一物を抱える。復讐心…ホラー映画のよう。
 
壊れていく担任教師の隣人と目が合う…え? 凝視される…ええ? あんなフォームでフェイドアウト…ええーっ!? この映像は間違いなくホラー。
 
なんだろうこの映画。話も、それを彩るカラーもバラバラ。原作未読ゆえ、先が読めない。収拾がつかなくなる不安を抱く。

sg4
 
ところが、ざわざわが沸点に達し、ヒロインとヒーローが出会った時、暗闇に光が射す。校内裁判。その磁石を真ん中に放り込むと、バラバラだったエピソードは一斉に引き寄せられる。グレーだった人間関係が徐々に白黒ついてくる。協力者が、仲間が次々現れ、物語は青春エンターテインメントに向かってまい進する。

sg5
 
佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、田畑智子、小日向文世…実力派人気俳優が顔を揃える。それぞれ最高のパフォーマンスを見せながら、一歩も二歩も引いた立ち位置なのが良い。この物語は、子供たちの物語。主導権も目線も、すべてが子供たち。だから、大人たちの行動が訝しい。
 
サスペンス、ホラー…様々な顔を見せながら、青春ストーリーへと推進する本作。古典的ホラー手法のビックリドッキリカットで後編にバトンを繋ぐ。
 
sg6
 
クレジットの後に、なんとも雰囲気のある後篇の予告。「感動」で終わるのだそうだ。ミステリー要素も加わり、あのキャラを信じていいのか、不安が煽られる。それでも、このバラバラのピースをどう紡いで「感動」に持ち込むのか…不安でなく、ワクワクなのが上手い。
 
全体の評価は後篇の落とし所次第。なので現時点では暫定評価。後篇を観たくなった時に困ると思い、とりあえず鑑賞したんだけど、もしかしたら、ものすごい作品かもしれない。
 
 
hiroでした。
「偽証」につき4月1日アップ。
 

脚本9 映像8 音響6 配役9 他(編集)9

41/50