21本目(3月11日鑑賞)
父は何のために歌ったのか
監督・脚本:ウィリアム・H・メイシー/脚本:ケーシー・トゥウェンター/ジェフ・ロビンソン/音楽:ソリッドステート/イーフ・バーズレイ
出演:ビリー・クラダップ/アントン・イェルチン/フェリシティ・ハフマン/セレーナ・ゴメス/ローレンス・フィッシュバーン
大学で銃の乱射事件が発生。我が子を失ったサム(ビリー・クラダップ)は広告会社を辞め、湖に浮かべたヨットで一人、ペンキ塗りをしながら無為な日々を過ごしていた。ある日、別れた妻(フェリシティ・ハフマン)が持ち込んだ息子の遺品の中に、息子が自曲を録音したCDを見つける。
地元のライブ・バーで飛び入りライブができることを知ったサムは、ステージで息子が遺した曲を歌う。思い思いの会話に花を咲かせる客の中に、食い入るようにサムを見つめるクエンティン(アントン・イェルチン)がいた。サムの歌う曲に感じ入ったクエンティンは、一緒に組もうと持ちかける。
ひとつのセリフ、ひとつのカットで、それまで観てきた風景がガラリと変わる。稀にそんな作品がある。これもそう。思い込み。可哀想なオヤジのスタンドアップ劇かと思いきや、あるシーンを境にその様相はガラリと変わる。不快ではない。むしろこのオヤジがもっと好きになる。
ハッとするその瞬間を味わっていただきたい。なので、書けるのはこれが限界。本当は語りたい。語りたいので、誰か観てください。(笑)
映画好き歴も鑑賞本数も、まだまだひよっこのhiro。モーフィアスことローレンス・フィッシュバーンくらいしか知らんと思ってた。そしたらまぁ、クエンティンのアントンは「ターミネーター4」のひょろひょろリースだったとは。ヴォン・ジョヴィを思わせるルックスで歌もうまい。
主役のビリーさんはカッコいい。ギターがサマになっている。略歴見ると、何度もお目にかかっていそう。すいません、印象に残ってません。あら、hiroより年下なのね、ビリー。
妻役のハフマンさんは監督の奥様だとか。そしてその監督のメイシーさん、本作、自身も出演されている。これまたどこかでお会いしているはずな出演歴。本作、監督デビュー作。
物語は痛々しい。なのに好きになれるのは、やはり「音楽」なんだと思う。彼が仲間と奏でる音楽。一人で弾き語る音楽。同じようでいて全く違う。両方カッコよくて、何がどういいんだか語れない心境、御察しくだされ。
未完の曲を完成させた時、彼は本気で息子と向き合う決意で、一人ステージに立つ。
本作、音楽の純度が相当に高い。
原題「RUDDERLESS」は、ヨット暮らしにひっかけた「舵のない船」であり、彼らのバンド名。気にかかる邦題が数多ある中、「君の生きた証」はなかなかいいと思った。大切な一本になりそう。オススメです。
hiroでした。
ガツンときた。
脚本9 映像7 音響7 配役9 他(音楽)10
計42/50