ずいぶん前の放送時に録画したNHKのドラマ、


火怨 北の英雄アテルイ伝


をやっと観た。(笑)


高橋克彦さんの小説「火怨 北の耀星アテルイ」が原作。タイトル見てもなんの小説やら、想像もつかないと思うので概略…


平安遷都の少し前の時代。日本全土に覇権を広げようとしていた朝廷のターゲットになっていたのが東北。東北一帯の地域(一説に関東以東全域)またはそこに暮らす人々を指す「蝦夷(えみし)」は、朝廷から人とさえみられていなかった。豊かな自然の中、平和に暮らしていた蝦夷を征伐しようと軍を送り込む朝廷に対し、蝦夷は立ち上がる。そのリーダーが阿弖流為…アテルイ。


ちょっと前に、全4話を前後編に編集して再放送したのを録画。阿弖流為に大沢たかお、軍師母礼に北村一輝、宿敵坂上田村麻呂に高嶋政宏、ほか、内田有紀、石黒賢、橋本じゅん、伊藤歩、原田美枝子、近藤正臣…高梨臨も出てる。


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高橋さんは東北在住の小説家。ミステリーと歴史小説、両方書くという。実は高橋さんの歴史小説2編が大好き。初めて読んだのが「炎立つ」。文庫全4巻の長編で、奥州藤原家の話。前後半で主人公が違う。詳しくは書かないけど、前半の主人公の最期、読んでて涙がどわっと溢れ出した。小説読んで涙がボロボロ出たのは、この時が初。

次に読んだのが本作。やはりボロボロ。戦国でも幕末でもないので、田村麻呂以外はまったく知らない。予備知識もない。展開がわからないワクワクもある。でも、だけじゃない。朝廷の圧政に屈しなかった蝦夷の誇りが根幹にある。東北人高橋克彦さんだからこそ紡ぎ得る東北愛の大河ロマン。


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ドラマの感想。駆け足感は否めない。限られた時間内で知名度の高くない人々の紹介に時間を割かれるのは、致し方なし。

原作で終盤に向け、俄然存在感を増す田村麻呂。ドラマでは、彼の蝦夷への思いが伝わらず、ラスボスに近いキャラ。田村麻呂の最後の変心も、なんだか急。放送されたのが、東日本大震災後。「がんばろう東北」の一端を担った企画。なので、ことさら田村麻呂の人柄を強調する必要もなかったか。


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大和朝廷が仕掛けた戦で、荒れ果てた東北の山野。それを目の当たりにしたアテルイは戦争の無意味さを知り、終わらせることを決断する。
大和の人々から見たら蔑む対象である、蝦夷。ただそれは、一部の特権階級の概念にすぎない。なにせ、特権階級である貴族など、日本列島にほんの一握り。蝦夷の人々の目線を覗けば、蝦夷であることの誇り、だけが見えてくる。
いくつかの主張を孕んで終える小説。ドラマにあっては、この「誇り」がことさらに目を引く。そう、誇り高き蝦夷の血を継ぐ東北人への賛歌。読んだのはずいぶん前。また読みたくなったな~。


あ、これも、ロケ地、遠野だ。遠野が呼んでいる?(笑)



hiroでした。
東北では「阿弖流為」って,
知ってるのが常識なんでしょうか?