HDD鑑賞


シリーズ最高傑作といわれる一篇

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容疑者Xの献身


監督:西谷弘

原作:東野圭吾

脚本:福田靖

音楽:福山雅治/菅野祐悟

出演:福山雅治/柴咲コオ/北村一輝/渡辺いっけい/品川祐/真矢みき/ダンカン/長塚圭史/金澤美穂/リリー・フランキー/八木亜希子/益岡徹/石坂浩二/松雪泰子/堤真一


一人娘の美里(金澤美穂)と暮らす靖子(松雪泰子)の元に、元夫富樫(長塚圭史)が現れ暴力をふるう。抵抗した二人は勢い余って富樫を殺してしまう。異変を知った隣人石神(堤真一)は、二人を救うためにアリバイ工作を始める。

捜査中に石神が帝都大出身の数学者で、今は高校の数学教師をしていることを知った警視庁の内海(柴咲コウ)は、捜査協力を依頼している帝都大の物理学者湯川(福山雅治)にそのことを告げる。石神と旧知の湯川は「石神は天才だ」と言う。石神の存在に興味を持った湯川は、独自で石神に接触。石神が事件に関与していることを察する。


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薄幸役は右に出るものなしの松雪。


原作はファンが多いらしい。韓国語版も売れているとか。人間ドラマとして濃いし、大作の趣きのある小説。人情劇も筆者の十八番であることだし。


劇場版も原作の空気感をキープして、名作の呼び声さえある。ただし、原作のままだと、かなり地味。雪山シーンを入れたのは、爽やかに締めたかったからだろうか。


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役作りで石神を造り上げた堤の役者魂!


薄幸女王松雪が絶品。不幸+弁当屋…「クヒオ大佐」を思い出す。

天才石神役の堤がまた壮絶。役作りのために自前の頭髪を抜いて減らして臨んだという。


松雪・堤の登場で、レギュラー福山・柴咲ペアの存在感が薄くなる事態。湯川先生は謎を解くからまだいい。本作、警察はほぼ仕事なし。


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原作の石神は中年太りで髪も薄い 。


石神の作ったシナリオを解き明かしていくのが本作。ミステリーというより、石神VS湯川の頭脳戦。石神の人物像、湯川との関係はよく描けていた。一方の主役靖子の過去や背景が、原作より浅かったのは、単に尺の関係か。


原作の持つ空気。映画としての密度は濃厚。湯川が数式を書きなぐる等、ドラマの約束事を封印したのは、あえて「原作に忠実」を狙ったと思われる。ドラマはドラマ、映画は映画。


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福山、映画の主演は初めて。

ただ、「これは湯川じゃなくてもいい」という疑問は残った。ドラマの約束事はいいとして、本作の謎解き、物理と関係ない。そこが不満といえば不満。原作がそうだから仕方ないけど。

元々はどちらかといえばライト・ミステリーなガリレオ・シリーズ。本作の原作が初の長編小説となった。小説から派生した湯川というキャラは、ドラマ~映画…さらには演劇集団キャラメルボックスによって舞台にも。それぞれ違う味付けで、湯川という天才物理学者は歩き出す。…実に面白い。


hiroでした。