DVD鑑賞


映画LOVE!

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ヒューゴの不思議な発明


監督・製作:マーティン・スコセッシ

脚本:ジョン・ローガン

原作:ブライアン・セルズニック

ビジュアル・エフェクト:ロブ・レガト

音楽:ハワード・ショア

出演:ベン・キングズレー/エイサ・バターフィールド/クロエ・グレース・モレッツ/サシャ・バロン・コーエン/レイ・ウィンストン/エミリー・モーティマー/ヘレン・マックロリー/クリストファー・リー/マイケル・スターリーバーグ/フランシス・デ・ラ・トゥーア/リチャード・グリフィス/ジュード・ロウ


人知れず駅の時計塔に棲み、行方知れずの叔父に代わって駅の時計を管理している少年ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)。駅舎内で機械じかけの玩具を売る老人(ベン・キングズレー)から、機械部品をこっそり盗み出しては持ち帰り、時計職人だった父(ジュード・ロウ)が残した古い機械人形を修理していた。

ある日、老人に盗みがばれ、父の修理メモを取り上げられてしまう。老人と暮らしている少女イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)に取り返してくれと頼むが、うまくいかないまま時間が過ぎる。ふとしたことで、機械人形を動かす「鍵」らしいものをイザベルが持っていることを知ったヒューゴ。二人で鍵を差し込むと、機械人形は動き始め、手にしたペンで不思議な絵を描き始めた。


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時計塔の中に棲むヒューゴに友達はいない。


スコセッシが、少年を主人公にしたファンタジーを撮った。しかも3D。それだけで事件。(笑)

観たら納得。映画愛に溢れた名作。映画の歴史をたどる物語。たどるからこそ、最新技術に意味がある。愛娘に本作の映画化を告げた時、「当然3Dよね」と言われたとも。

映画は見世物小屋から始まった。手品の延長。今のような娯楽になるなど、映写機の発明者すら予想もしなかった。一人の男を除いては。


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イザベルはヒューゴの初めての友達。


一人の男というのがジョルジュ・メリエス。実在の人物。元ステージ・マジシャン。機械じかけで撮影に関する様々な機器を発明。トリックを応用した様々な撮影技法も考案。世界初の職業映画監督といわれてる。物語では、機械人形が描いた絵のサインで、ようやく彼に辿り着く。

実在なのでWikipediaで検索。いろいろ知った。ストーリーに関係するので、ここでは書かない。興味のある方は「メリエス」で検索サーチ


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大好きだった父の残した

機械人形が描いたのは…。


ときおり挟まれるモノクロ映像。貴重なフィルムなのかもしれない。詳しくないのが残念。

巨匠監督が大好きな映画への、感謝の気持ちが伝わってくる。主人公ヒューゴは、自身の投影でもあったろうか。


本が好きな少女。

映画を嫌う老人。

なにかを隠しているその妻。

少年を嫌う公安官。

公安官が思いを寄せる花屋。

二人を見守る老女。

老女の犬に嫌われる老人。

映画を研究する青年。


駅という舞台を雑多な人々が行きかう。駅はヒューゴの日常。そこに老人との出会いがあり、イザベルとの出会いがある。

父が残した機械人形。そこに秘められたミステリー。それはまるで、駅の人々とヒューゴをつなぐ秘密のドアのよう。最愛の息子が、一人で生きていけるように仕組んだ、精密な仕掛けのよう。ドアを開ける鍵は、もちろんイザベラだ。


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映画の歴史を辿る、映画愛に満ちた作品。


ベテランのキングズレー、リー、今が旬のロウ。名優たちが固めた土台を、奔放に駆けまわるのが、エイサーくんとクロエちゃん。

エイサーくんは「エンダーのゲーム」でも主役ゲット。クロエちゃんは今さら書くまでもない大躍進。テロップの順はどうあれ、二人は間違いなく本作の主演。クロエちゃんの微笑みと、エイサーくんのどこか哀しげな瞳が印象に残った。


「月世界旅行」の1シーン。見覚えのある映像だけど、メリエスの名前は初めて聞いた。

映画が好きと言いながら、ここで交流のあるみなさんとは比べものにならない、知識の少なさ。本作のおかげで、少しだけ利口になれた気がしている、未熟者です。



hiroでした。