60本目(11月10日鑑賞)
原作・脚本・監督:三谷幸喜
撮影:山本英夫 照明:小野晃
録音:瀬川徹夫 編集:上野聡一
音楽:荻野清子 衣装:黒澤和子
出演:役所広司/大泉洋/小日向文世/佐藤浩市/妻夫木聡/坂東巳之助/鈴木京香/伊勢谷友介/中谷美紀/剛力彩芽/浅野忠信/寺島進/松山ケンイチ/でんでん/篠井英介/浅野和之/阿南健治/市川しんぺー/染谷将太/近藤芳正/戸田恵子/梶原善/瀬戸カトリーヌ/中村勘九郎/天海祐希/西田敏行
明智光秀(浅野和之)の謀反により、天下統一の夢半ばで本能寺に倒れた織田信長(篠井英介)。長男信忠(中村勘九郎)をも失った織田家の跡目を決めるべく、有力諸将が尾張の清州城に集結する。
筆頭家老柴田勝家(役所広司)は、信長の妹で、夫浅井長政を羽柴秀吉(大泉洋)に討たれた市(鈴木京香)や重臣丹羽長秀(小日向文世)らを味方につけ、三男だが聡明な信孝(坂東巳之助)を擁する。一方、信長の敵・光秀を討ち、飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進中の秀吉は、愚鈍で「うつけ」と評判の次男信勝(妻夫木聡)を擁して、柴田勢に対抗する。
勝家、秀吉、長秀、そして戦場から遅参している滝川一益(阿南健治)の代わりに宿老となった池田恒興(佐藤浩市)の4人による会合で後継者を決めることになり、勝家、秀吉のパフォーマンスは激化していく。
大爆笑を期待していくと肩透かし。これは喜劇ではなく、かなり真剣に作った歴史劇です。歴史劇なら三谷でなくてもよかろう、と思う反面、かなり真剣に歴史劇をつくっても微妙な人がいる中、ここまで面白く作れる三谷の力量、認めざるを得ない。
信孝(左)と信勝(右)。
妻夫木くんの道化っぷり、うけてました。
まずは題材。この清州会議は史実で、ここで三法師を担いでサヨナラ勝利を勝ち取った秀吉が天下人となっていくターニングポイント。派手な戦闘シーンがないので、ドラマ的にないがしろにされがちですが、歴史的には大変重要な事件なんです。
なので、信長、光秀らスターの登場する本能寺は、冒頭でちょこっと触れておしまい。舞台を清州に移し、メジャー、マイナー入り乱れてたくさんのキャラクターが集結する。そこに人間の憎悪、好き・嫌い、損・得が露わにされる。逆転劇の隠し玉三法師の擁立という、イリュージョン的なクライマックス。そして「市」というキーパーソン。実に芝居じみている。藤吉郎秀吉の仕組んだまさに「猿芝居」。この「清州会議」そのものが喜劇であり、そこに喜劇的な演出の上乗せなど必要ない…と思ったのではなかろうか。
天下争奪戦であるとともに、
市の争奪戦でもあったという。
歴史観とか、そういうのは諸説があり、これがなかなか面白い。hiroは勝家が好き。だけど、それはいつか機会があれば。ここでは映画のことを書きま~す。
なにせ登場人物が多い。こういうときは、あれ、ひとことコメントで。
役所さん・大泉…イメージ通り。言うことなし
小日向さん・寺島さん…ひたすらシビア。バンドで言えばベースギターの役割。
浩市さん…三谷作品で魅せるヘタレはよい。今年はいっぱい仕事しています。
京香さん…メイク凄いね。hiroのイメージする「執念の女・市」に近いイメージ。
中谷さん…もう大物女優と呼んでもいいのでは。寧役としてはきれいすぎ?
剛力…まだ力不足かもな。
妻夫木…絶対楽しんで仕事してますよね。
巳之介さん…お初です。凛々しいですね。
伊勢谷…つけ鼻不要。かっこええ。信長やってほしいね。
浅野忠…「犬千代」と呼ばれてたので、彼が前田利家だと気付かなかった人、結構いるのでは?
浅野和…つけデコ。そんなに盛ったか~。
松ケン…もっと出番があってもよかったな。
でんでん…かっこいい!
篠井さん…すんごい似てないか?
戸田さん・天海さん・勘九郎・染谷くん…カメオ?
阿南さん…妻夫木の次に持っていきましたね。
市川さん…佐々って好きなのです。ちょっとあれはない。
西田さん…金縛り放映の翌日だけに、笑いのウズ。
唐沢君…出てないよ。
近藤さん…何気にツボ。最初誰だかわからなかった。
秀吉ははまり役。
寧はもう少し土臭い方がいい。
これだけの豪華キャストにもかかわらず、ぐちゃぐちゃにならず、整理されていたのはさすが三谷。歴史好きじゃない人にはどうだったんだろ。話、わかったかな。
歴史はこの後、勝家が秀吉に攻められ、市と共に火炎の中に消える。天下を取り損ねた勝家だが、天下よりも素晴らしいものを、この清州で得た。hiroは個人的にそう考えていた。今作も、そういう空気の中で幕を閉じただけに、観ていていちいち腑に落ちたし、このまま勝家・市の最期まで撮っても対応できそうなキャスティングにも脱帽。
低評価のようですが、hiroは面白かったな~。笑いがないと三谷はダメなのか~。
hiroでした。