49本目(9月13日鑑賞)


渾身の役者対決に鳥肌…北海道の風景に鳥肌
観たい映画を観て、読みたい本を読んで、聴きたい音楽を聴く!-ym1
許されざる者


監督:李相日

撮影:笠松則通 編集:今井剛

照明:渡邊孝一 録音:白取貢

装飾:渡辺大智 美術:杉本亮

音楽:岩代太郎

出演:渡辺謙/佐藤浩市/柄本明/柳楽優弥/怱那汐里/小池栄子/國村隼/小澤征悦/三浦貴大/滝藤賢一/近藤芳正


幕末、「人斬り」と恐れられた幕臣釜田十兵衛(渡辺謙)。大政奉還、戊辰戦争と時代は流れ、新政府から追われる身となった十兵衛は、未開拓の地・北海道で、亡きアイヌの妻が残した二人の子とともに静かに暮らしていた。

開拓民の村で起きた刃傷沙汰で、顔に傷を負った遊女なつめ(怱那汐里)のカタキを討つために、遊女仲間のお梶(小池栄子)らが傷を負わせた客(小澤征悦三浦貴大)に懸賞金をかけた。十兵衛はかつての戦友金吾(柄本明)から賞金稼ぎの手助けを求められる。切っても切れない「人斬り」の宿命。極貧の生活にも限界を感じていた十兵衛は金吾の誘いに乗り、道中、知り合ったアイヌの母をもつ五郎(柳楽優弥)を加えた3人で村へ向かう。


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観るたびに謙さんの凄さに感じ入る。

次のサービスデイは仕事が忙しくて行けない。たまってるポイントはある。たまたま金曜に休みが取れた。そんなことが重なって、公開日に観ることになった。

基本情報として、イーストウッドのオリジナル版は未見。なので、比較の類ができません。単純にこの作品単体を観て、感想書きますね。


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今回は浩市さんがかすむほど

周りの役者が凄かった


で、感想です。この映画、凄いです。hiroは大好きです。何が凄いのか。まずは、各役者の渾身の演技。それぞれの役者が自分に託された役を好演。受ける相手役者はいい加減な芝居はできない。好演で応えるしかない。その相乗効果。謙さんも柄本さんに負けてられない。柳楽くんが浩市さんを煽る。汐里ちゃんが小池に挑む。國村さんと近藤がスパイス。滝藤がその座を狙う。小澤・三浦は予想以上。緊迫のドリームマッチ。


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もう一人の許されざる者・柄本さん


イーストウッド作品の代名詞といえば「重い」。オリジナル作品もきっと重いのだろうと勝手に想像。李版も重いのだろうとこれまた想像。…案外、そうでもなかった。

「許されざる者」…誰が誰を許さないのか。この作品は、そこが理解しやすい。「新政府」が「旧幕臣」を許さない。そして、それは必ずしも正しくはない。十兵衛も金吾も、たまたま幕府の側にいただけだ。それでは彼らは「許されていい者」なのか。この作品の出している答えは…。

金吾のセリフが身に沁みる。「本当は行くところなんてないんだ」。

「結局、やられたらやりかえせじゃん」…そう言われると、うまいこと返せないんだけど。


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傷だらけの顔で熱演の汐里ちゃん
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実力派を向こうに回して好演の柳楽くん


今回光ってたのが、二人の若手。

女優の命である顔を傷だらけにして熱演した汐里ちゃん。もはや大物の風格さえある小池さんにはかなわないものの、着実に前進を続けています。

そして、大収穫だったのは柳楽くん。実力派ベテランとの共演が彼に力を与えたのか。難しい役どころ、重要な役どころを、臆することなく見事に演じ切ってた。

…あと、出番はすくなかったけど、三浦くんもよかったよ~。


北海道の大自然、開拓村のセット等々、撮影スタッフ、美術スタッフも最高のジョブ。岩代太郎の音楽も胸に響く。キャストだけじゃない。スタッフにも感謝しよう。素敵な映画をありがとう。


いろんなレビューで、なかなかの悪評(笑)。まあ、好みだからしょうがないかな。重ねていうけど、hiroは大好き。日本アカデミー賞に絡んできて当然な作品だと思ってる。


面白い題材のアジア映画が海外で注目されると、なぜかいつもでてくる「リメイク権」の言葉。なぜ、そのまま買い取って、あっちのスクリーンにかけてくれないんだろう、と思ってた。その風潮に風穴を開けてくれた李監督に拍手。リメイクを許可してくれたイーストウッドにも拍手。



hiroでした。

オリジナル版も観ないとね。