HDD鑑賞


これは乳房で感じる映画…じゃないかな。
観たい映画を観て、読みたい本を読んで、聴きたい音楽を聴く!-semi1


八日目の蝉


監督:成島出

原作:角田光代 脚本:奥寺佐渡子

撮影:藤澤順一 衣装デザイン:宮本茉莉

美術:松本知恵 音楽:安川午朗

主題歌:中島美嘉「Dear」

出演:井上真央/永作博美/渡邉このみ/小池栄子/森口瑤子/田中哲司/市川実和子/平田満/劇団ひとり/余貴美子/田中泯/風吹ジュン


父(田中哲司)の愛人希和子(永作博美)に誘拐され、「薫」として育てられた恵理菜(井上真央・子役=渡邉このみ)。何の因果か自分もまた妻子のある岸田(劇団ひとり)の子を宿してしまう。そんな折り、かつての事件のことを聞きたいと恵理菜に接近するルポライター千草(小池栄子)。小さい頃の「薫」を知っているという千草は、恵理菜の母・希和子の辿った途を旅しようと誘う。


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小池栄子、渾身の演技!


ベストセラー小説が原作の日本アカデミー賞を独占した話題作。地デジ放映版で鑑賞。CM含め2時間10分の時間枠だからずいぶんカットされてたみたいだけど…。

いや~男性諸氏には身の置き所がないストーリーでしたね。徹底した女性主観。スタッフをみても女性が多いので、女性客狙いという意図もあったのかな。たぶん、ですけど、男女で評価がかなり別れる作品のような気がする。


原作は時系列に進むらしい。映画は二人の主人公希和子と恵理菜の歩んだ途を並行して追う。なので、おおまかに希和子パートと恵理菜パートに分かれてます。

恵理菜パートは井上真央の奮闘。ただ映画経験の浅さは否めない。不機嫌一辺倒な表情の演技だけど、同じ不機嫌にもいろいろな段階があるはず。まだ若いので、これからに期待。

それをリカバーして余りあるのが小池栄子。「自信のかたまり」な役ばかりだったのが、みたこともない不安顔。終始それ。あんなにフワフワした演技ができたのか、とビックリ。一皮むけた瞬間。

一応フォロー。真央ちゃんのおでこは一級品。デコピンしたくなるほど萌えます。それと、彼女は高校の後輩。今や山本昌より上に名前が出る。応援してるぞOB!OG!


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永作史上最高のカット!


一方の希和子パート。こちらは永作の独壇場。非の打ちどころない完璧な演技、カメラ。不機嫌一辺倒の恵理菜パートに対して、こちらは不安一辺倒。ただ、映画経験の豊富さか、年の効(失礼)か、いろんな不安を表情や演技だけでなく映像でも表現。余さん、市川さんら個性派女優を向こうに回して、まったく見劣りしていない。主演女優の貫録。もう「大物女優」と呼んでもいいのではないか。

写真館からフェリー乗り場の一連の流れは、涙なくしては観られない。永作史上最高の演技。間違いない。

ちなみにhiro、永作のおでこも大好きである。デコ女優二人で母子とは考えた!…と思ったのに、血がつながっていない母子だったのね。


写真館で思い出した。行定監督、またやりましたね。「世界の中心で愛を叫ぶ」でも、とても印象的なシーンで写真館が登場。「世界の…」では山﨑努。そして今回は田中泯。渋いトコ抑えてます。泯さん、この映画で唯一のかっこいい男です。あと、平田満もいた。この映画では唯一の優しい男。


冒頭で「乳房で感じる映画」とした。

おおかみこどもの雨と雪 」では「子宮で感じる」と評した。ともに女性のための映画であることを表現してみた。

腹を痛めて生んだ子は、「たとえ父がおおかみであっても、無償の愛の対象であることに変わりはない」…というのが「おおかみ…」でのコメント。一方こちらは、「母性の前では血のつながりなど関係ない」という意味でのコメント。母性の象徴が乳房。印象的だったのが、希和子が、恵理菜を誘拐し、泣き叫ぶ子をどうしていいかわからず、出るはずのない母乳を与えようとしたシーン。なので、この映画は「乳房」と決定!


〆る前に…半分は大絶賛ですが、賞を独占するほどではないかな。同賞で永作が「助演女優賞」を獲得したのも不可解。主演じゃないの? 真央ちゃんに「主演女優」、永作に「助演女優」とW受賞させたいがための配慮だったのかと。永作「主演」、小池「助演」だったほうがまだ納得できたりする。


hiroは男ですが、女性目線だと、もっと違う観方になったのかな?



hiroでした。