10本目(3月9日鑑賞)


パニック映画でもなく、法廷劇でもなかった。


観たい映画を観て、読みたい本を読んで、聴きたい音楽を聴く!-f1

フライト


監督・製作:ロバート・ゼメキス

製作:ウォルター・F・パークス/ローリー・マクドナルド/スティーヴ・スターキー/ジャック・ラプケ

製作総指揮:シェリラン・マーティン

脚本:ジョン・ゲイティンズ

撮影:ドン・パージェス

美術:ネルソン・コーツ

衣装デザイナー:ルイーズ・フログリー

視覚効果:ケヴィン・ベイリー

編集:ジェレマイア・オドリスコル

音楽:アラン・シルヴェストリ

出演:デンゼル・ワシントン/ケリー・ライリー/ドン・チ―ドル/ジョン・グッドマン/ブルース・グリーンウッド/メリッサ・レオ/ブライアン・ジェラティ/タマラ・チュニー/ナディーン・ヴェラスケス/ジェームズ・バッジ・デール/ガーゼル・ボヴェイ


乗客乗員計102名を乗せた旅客機が、高度9000メートルの上空で制御不能になる。

絶体絶命の危機を、まさかの反転飛行で救ったウィトカー機長(デンゼル・ワシントン)は、6名の死者を出したものの、96名もの人命を救ったその技術に、一夜にしてヒーローとなる。

死者が出たことで、事故原因調査委員会が発足するが、それは「形式的」なもののはずだった。ウィトカーの血液からアルコールが検出されるまでは。

事故原因をあくまで機体故障に持っていこうとするパイロット協会は、腕利きの弁護士ヒュー(ドン・チードル)を雇い、ウィトカーの私生活…特にアルコールに関することを隠し、改善するよう動きだす。

実は、ウィトカーの離婚原因はアルコール依存。今も依存から抜け出せない生活を送っていた。偶然、入院中の病院で知り合った薬物依存のニコール(ケリー・ライリー)とともに、改善を図ろうとするが…。


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一流の操縦技術を持つウィトカーだったが、

私生活が問題視される。


予告の展開から、パニック・ムービーではないことは容易に想像できた。

うん、これは法廷劇なのだろうと。

それでも、事故から着陸までの機内の様子や不時着シーンはリアル!

映画館のシートが、旅客機のシートに感じが似ていることもあり、かなりコワイ!

飛行機に乗るのが怖くなる。苦手な人はやばいかも。


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弁護士ヒューの協力で無実を主張する。


弁護チームは事故原因を機体故障である調査を進める一方で、ウィトカーのアルコール依存の事実を隠ぺいしようとするんですよ。

この辺から、依存の怖さが浮き彫りにされていくんですよ。で、あれ、これは法廷劇ではないんじゃないかと。


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薬物依存のニコールは改善するのに前向きだ。


ウィトカーと対照的に依存から抜け出そうと努力する人物として登場するのがニコール。

ニコールはウィトカーを更生しようと働きかけるが、ほんの一口のアルコールがすべてを狂わせる。

クライマックスの公聴会で質問攻めにあうウィトカーですが、事故原因は機体故障であることに決着をみようとします。

最後の機内に残されたウォッカのビンについての質問に対し、「さあウィトカー、なんて答える?」が、この作品のツボになってます。


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ウォッカを飲んだのは誰ですか?


…なのですが、ちょっと腑に落ちない。

たしかに依存を隠そうとしたことは責められることなのでしょう。搭乗前や飛行中に飲んでいたことも違反です。

ただあの展開、事故原因は機体故障であることは間違いなさそう。

ウィトカーの操縦によって102名全員が死亡するところを96名もの生存者を出したことも事実。

アルコールの存在は事故とは無関係。

つまり、事故責任は航空機会社に負い、ウィトカーは飛行士免許はく奪。それが自然だと思ったのね。

ところがウィトカー、どうも刑事罰も追っている模様。

アメリカ社会の依存に対する人格的な評価の低さは、責任問題まで凌駕するものなのでしょうか。

旅客機を整備した会社の責任がどう問われたのが描かれていなかった…なにか物足りない。


たぶん、これは宗教映画?

ウィトカーのアルコール依存をたつために、神はニコールと出会わせます。

神の使いかのようながん患者が登場します。

しかし、ウィトカーは神の好意を無にします。

そして、公聴会の前、アルコール断ちがあと一歩で成功、というところで神は試練を与えます。

あそこで成功していれば、アルコールをやめられたとしても、ウィトカーはあと数年、嘘をつきながら空を飛んでいた。

神はウィトカーの依存をやめさせたいのではなかった。

彼を悔い改めさせたかったのです。


そんな寓話。そんな説法。

これがこの作品なのかも。

あちらの宗教観にうといので、ちょっと消化不良。

デンゼルの演技には舌を巻いたけど。




hiroでした。