ずいぶん以前(約六年前)のポストなのですが、いまだに「ボトムブラケット(BB)の規格」へのアクセスが一番多いことに、今更気が付きました。
購入予定はなくとも、私の新しいフレームへの関心が高まってきたので、備忘録もかねて2016年6月時点での主なBB規格について纏めてみることにしました。

ただし、今回は"どのクランクが一番使えそうか"、という切り口でまとめました。
それなりの分量となりそうなので、結論から。

「クランクはφ24mm Axle(車軸)系を使いましょう。シマノ(互換)がより良い。」
「どうしてもφ30mm 系を使いたいならBB386Evo対応クランク」

理由
φ24mm Axle系クランクは、全てのφ30mm Axle向け規格にも、φ24mm Axleにも、(はたまた異端のLook BB65規格にも)、アダプタ、コンバートBBがあり、全てに対応できるから。
BB386Evoもほとんどを網羅していますが、BB65は確認できず、BB90には対応していなかったので、「全て」は当てはまりません。

Rotorのφ24mm と φ30mm 
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他社のクランクもアダプタ、変換BBで実際にはRotorクランクと同じ適用範囲となります。
上記は、Rotorは自社のBBで対応している、という意味合いです。


 φ24mm Axle系 BB
(規格 : BB幅 / 言いだしっぺメーカー / ベアリング取付方法)
BSA : 68mm / ? /ネジ切りカップ
ITA : 70mm / ? /ネジ切りカップ
ThreadFit 82.5 : 82.5mm / Colnago / カップ圧入+ネジ切り
BB86 : 86.5mm / Scott, Shimano / カップ圧入
BB90 : 90.5mm / Trek / 直接圧入

φ30mm Axle系 BB
OSBB : 61.8mm / Specialized / 直接圧入
BB30 : 68mm / Cannondale / 直接圧入
PF30 : 68mm / SRAM / カップ圧入
BB30A : 73mm / Cannondale / 直接圧入
BBright : 79mm / Cervelo / カップ圧入
BB386Evo : 86.5mm / FSA / カップ圧入


異端系 (悪意はありません…)
BB65 : 63.5mm / Look (軸径 50mm) / 直接圧入


24mm Axle系、BB386Evo クランクの(有効)車軸長: (約)90mm

φ24mm系クランク
シマノホローテック2やカンパのウルトラトルク、SRAM GXPがメーカー純正です。
ROTORもシマノ互換24mm(3D24)の販売を続けています。
これはすべてのBB規格に取付可能です。
☆ただし、SRAM Quarqパワーメーターは24mmφ版でも30mmφでも、BB386Evoフレームには対応していないと表明しています。
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BB386Evoクランク
FSAは24mmを止め、BB386Evoクランクにラインナップを絞りました。
ROTOR は3D+, 3D30, 2Dがこの規格に当てはまります。
カンパニョーロ オーバートルククランクもこの規格に相当します。
☆ただし、BB30規格SRAMクランクはBB386Evo相当ではない模様。

Campy Overtorque Comp Ultra 

Rotor 3D+

FSA 386Evo
http://farm8.staticflickr.com/7310/12916385084_039edf12ac_z.jpg
http://www.bikeforums.net/road-cycling/936604-campagnolo-over-torque-comp-ultra.html
この方はPF30フレームにBB386Evo対応クランクを入れた写真を共有していらっしゃいました。
定規の端、目盛りが無い部分が5-6mmあるので8.0-8.1cm付近が86.5mmの辺りでしょう。


フレームを変える毎にクランクを新しくするならば、頭を悩ませる事はありませんが、そうでなければ、「軸が長い」上記二規格のクランクが良いでしょう。
BB386Evoと24mmφクランクは、24mmφが若干重たいことを除けば、ほとんど差はありません。軸径よりもクランクアームやスパイダーアームの設計、素材の方がより重要な要素でしょう。
シマノクランクを使っているプロ、ハイアマチュアが剛性不足を訴えたと、聞いたことはありませんから。


さて、翻ってBBの話。
ユーザーサイドから云えば最も好ましい規格のBSAとITA。2016年には初級~中級グレード以下のフレームにしか採用されなくなっています。
メーカーにとってみれば、オーバーサイズBBを採用することで、製造コスト軽減と新しい規格を使うことによる製品イメージの向上が期待できるため、BSA, ITAを使いづらい状況なのでしょう。
確かに、フレーム設計の自由度が上がり、性能向上の余地が増えるのでしょうが、高々人間の出力程度では、カーボンファイバーの種類、積層やフレームデザインで補える範囲でしょう。

去年からITAに回帰したピナレロは、メンテナンス性・信頼性を求めるユーザーの希望に沿ったが、実際には剛性でも優位だった、といったとか。いわば、オーバーサイズ(クランク軸径とBB幅)を見事にdisってますね…。いけね、本音が出たぜ。

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同じくイタリアンブランドの雄、コルナゴは敢えてネジ切りをした「ベアリング受け」を作ってそこにベアリングカップを圧入するという曲芸(失礼)をやりました。これならば、プロユースなら事前にベアリング圧入済「受け」を準備しておけば、簡単に交換できますし、フレームへのダメージはありません。
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各メーカーが(無意味な)オーバーサイズ規格を止めて、(正気に戻って)BSA, ITAに回帰、最悪でもコルナゴ方式を採用することを切に祈ってます。

(6/17 追記: 考えれば考えるほど、コルナゴ方式で、最初からベアリングを組み込んだカートリッジが一般化すれば、とても良い選択肢に思えてきました。実際にそれは販売されてますね。
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