昭和33年初版の推理小説。博多湾「香椎」での情死事件は誰かが仕組んだ殺人事件なのか。捜査は、青函連絡船、函館、札幌、小樽と舞台を移してゆく。あとがきに記載されているように、この小説は当時の雑誌「旅」に連載されたもので、列車の時刻表が事件解決の鍵となっている。

 

また小説に出てくるのが、旅館だったり、夜行列車だったり、宿泊客への電話の取次だったり、電報だったりと時代を感じさせるものばかりなのが、35年生まれの私には懐かしく古い映画を観ているような気分に浸れるのがまたいい。