今月は収穫が多かった。
・四大ミステリーにランクインした本を中心に、ミステリーをたくさん読めたこと。
・13年連続で「新潮文庫の100冊」を完読したこと。
・ずっと読み続けていたラノベのシリーズ2作品を完読したこと。
冊数も17冊、頑張りました。
まずはミステリー。6冊と「このミス」を読破。
◆失われた貌(櫻田 智也)
「このミス」をはじめミステリ三冠作品、伏線を見逃さないようにとメモを取りながら心して読んだ。ミステリー部分もさることながら、ヒューマンドラマとしても面白いし、主人公の日野、部下の入江を始めキャラもちゃんと描かれており、なるほど、三冠も納得の正統派警察ミステリーでした。
◆路地裏の二・二六(伊吹 亜門)
面白かったー。伊吹さんというと幕末もののイメージが強かったのだが、本作は明治維新ならぬ昭和維新。明治維新は攘夷の愚かさに気づいたクーデター側がうまく日本を文明開化、富国強兵に導いたわけですが、昭和維新は日本を破滅させてしまったってところでしょうか。
ホームズ役が憲兵って、すっかり善人ではないそのキャラや行動力も魅力的で、ミステリーサイドも史実をベースに上手く織り込まれていて、一気読みでした。
◆エレガンス(石川 智健)
大東亜戦争末期、連日の空襲に曝される首都で起きた女性の連続不審死、捜査に当たるのは、ホームズ役が吉川線で有名な吉川澄一、ワトソン役が写真家の石川光陽の実在の二人。人の命が軽々しく失われていく窮境の中犯人を追う。
事件もだけど、日に日に悪化していく首都の惨状の描写が圧巻。昭和館の石川さんの写真展、終わっちゃったみたいですね。残念!
◆寿ぐ嫁首 怪民研に於ける記録と推理(三津田 信三)
刀城言耶シリーズのスピンオフの長編でしょうか。横溝正史ばりにおどろおどろしさ満載の見立て殺人事件なのですが、なぞ解き、トリックはうーん、どうかな。まあ、これはこれで、こういう作品だということで。
◆抹殺ゴスゴッズ(飛鳥部 勝則)
平成の親の世代と令和の子の世代、地方都市でそれぞれで起きた怪奇殺人事件、実は共通の登場人物がいて、二つの話がつながっていく。濃い登場人物たちが織りなす、エログロあり、暴力あり、恋愛要素もあり、それでいてしっかりミステリーしている。真犯人には!?その動機はちょっとこれはと思わなくもありませんでしたが。
◆掟上今日子の保険証(西尾 維新)
うーん、ミステリーというよりも、今日子さんと厄介くんの掛け合い漫才のようになってきました。
◆このミステリーがすごい! 2026年版
毎年購入、国内のランキング本上位10冊は必ず読むようにしています。REVIEWS & COLUMNSや乱歩の特集も読みごたえあり。
「新潮文庫の100冊」は残していた3冊を読了。
◆ロリータ (ウラジーミル ナボコフ)
ロリコンの語源になった変態性欲者の話と思ったら、それだけではない。やはりガーディアンの1000冊に選ばれるだけのことはある、奥の深い小説でした。信用できない語り部のミステリー要素あり、全米を旅するロードノヴェルでもあり、蘊蓄だらけのロリータに対する崇拝と嫉妬がないまぜになった、主人公の諧謔的な心情の吐露はすごいのか異常なのかよくわからない迫力があった。名訳、なんでしょうね、巻末の注釈も面白かった。
◆中原中也詩集
なぜ中原中也はこれほどまでに有名なんだろう。いくつかの有名な詩があって、教科書に載ったりしてるからなのかな。夭折の天才?宮沢賢治とも共通するものがあるよね。抒情的で、身内の死に慟哭して、最後の未刊の詩なんてちょっと危ない感じ。確かに、情景が浮かぶような詩作はある。どう感じるかは自分次第なのかな。
◆小泉八雲集 (小泉 八雲)
高校1年の時かな?初めて読んだ原書が"Kwaidan"の”Mujina”だった。何度も読み返したのでストーリーも覚えていたが、他の話は記憶になし。先日、大久保界隈を散歩していて偶然小泉八雲記念公園、終焉の地の記念碑を見つけました。朝ドラも観てます。
◆りゅうおうのおしごと!20 (白鳥士郎)
アニメは5巻分でクライマックスを迎え終わっちゃいましたけど、ラノベの方は続きに続いてとうとう20巻!面白かったー、大団円ですね。ユニークなキャラたちが活躍するロリものと思わせて、その将棋に対する熱量は全く衰えることも、間延びすることもありませんでした。こんな熱くて面白い物語を紡いでくれた著者にただただ感謝です。
◆青春ブタ野郎はビーチクイーンの夢を見ない+ (鴨志田 一)
前作の「…ディアフレンドの夢を見ない」で完結と思っていたら、思いがけずおまけでもう1冊読めたので、ちょっと得した気分。
◆一場の夢と消え(松井 今朝子)
昨年の柴田錬三郎賞受賞作品ということで、近松門左衛門のお話ということも知らずに手に取った。近松門左衛門、「曽根崎心中」を書いた江戸時代の人形浄瑠璃の脚本家程度にしか知らなかったので、読んでてとても新鮮。武家の出で教養人だったんですね。さすが松井さん、京歌舞伎に浄瑠璃、江戸時代の市井の人の生活や娯楽のありよう、芸人の心意気がとてもリアル。
◆spring (恩田 陸)
直木賞を取った「蜜蜂と遠雷」のバレエ版、でしょうか。天ンサー、萬春(ヨロズ・ハル)を友人でダンサー仲間の深津、よき理解者の叔父、元ダンサーで作曲家の七瀬、そして本人の視点で語る四部構成。その道を究めた本人たちでしか分からない感覚を大層で抽象的な表現で書き綴った文章は、なかなかに読みごたえがありました。
「新潮文庫の100冊」も終わったので、積読本の消化が3冊。
◆地獄変 (芥川 龍之介)
表題作を含め短編が11編、中学校の教科書等で既読のものあり、初読みのものもあり。「芋粥」「地獄変」は読んだつもりだったけど枚葉忘れてた「羅生門」「蜘蛛の糸」など寓話的な話あり、「トロッコ」のように心象風景を描写したものあり、。久々に芥川龍之介を堪能しました。
◆羊と鋼の森 (宮下 奈都)
本屋大賞を取ったときに単行本で読んだのを、久々に文庫本で再読。恩田陸さんの「spring」を読んで、何となくその連想で手に取った。板鳥さんとの、調律との運命の出会いから一途に調律士になった外村くんのひたむきな成長物語、先輩との実力差やお客さんから評価されないことに悩みつつも、何かをつかみつつある彼にエールを送らずにはいられない。タイトルとやや大げさな文章表現が美しい。
◆ユージニア(宮下 奈都)
うーん、これは、単純に、刑事さんの勘の通り犯人は緋紗子で、でもどうして?どうやって?って考えながら読んだけど、でも、それでいいのかな。回収されていない伏線いっぱい残ってるし、緋紗子の母もちょっと変だし、、ということで読後感もやもや。読んでいる時は面白くて一気読みだったんだけど、なんかなー。