衰退の5段階…強大な組織はいかにして衰退するのか

 

「ビジョナリーカンパニー ③ 衰退の5段階」(ジェームズ・C・コリンズ、日経BP社)より少し

 

弾み車(ビジョナリーカンパニー ②より)


飛躍は一挙に達成されることはない
飛躍の道は小さな努力、変化の積み重ねによって開かれていく

 

巨大で重い弾み車をひとつの方向に回しつづけるのに似ている
はじめは、動いているのか分からないほどゆっくりした回転である
ひたすら回しつづけていると、少しずつ回転が速くなり、やがて考えられないほど回転が速くなる
押し続けていけば、回転がどんどん速くなり、やがて突破段階に入る

 

 

○初期の段階には発見するのは難しいが、治療するのはやさしい
後期の段階には発見するのは簡単だが、治療するのは難しい

 

○どの組織も、いかに偉大であっても、どれほど優れた業績を達成していても、没落しうる
強力な勢力がかならず頂点に止まるとする自然の法則はなく、ほとんどいずれ転落する


衰退の5段階

 

○第1段階 傲慢「我々は偉大であり、何でもできる」
・成功を収めてきたのは当然だとする「傲慢」
・主要な「弾み車」を無視し、成功はほぼ間違いないとの思い上がりから、つぎの大事業に関心を移す傲慢
・指導者が好奇心と学習意欲を失う
・幸運に恵まれた可能性を認識せず、自分たちの長所と能力を過大評価する

 

○第2段階 規律なき拡大路線「拡張しすぎ
・持続不可能な成長の追求
・偉大な実績をあげられない分野に規律なき形で進出する
・達成できる以上のペースで成長する
主要なポストに適切な人材を配置することができなくなる
有力な人材がいない
・指導者が後継者の選任に失敗した場合、没落の道を歩むことになる

 

○第3段階 リスクと問題の否認
・良いデータを強調し、悪いデータを小さくみせる
事実の裏付けのない大胆な目標を掲げ、大胆な賭にでる
・曖昧なデータに基づいて、大きなリスクをおかす
きわめて悪い結果になったときに、どのような打撃を受けるのか
その打撃に耐えられるのか
・後退や失敗を他人や外部要因に責任を押し付ける
・厳しい現実を直視しない
組織再編を繰り返す

 

○第4段階 一発逆転策にすがろうとする
・劇的で大きな動きによって突破口を開こうとする傾向
・派手な新製品の成功に依存する
・一気に業績回復を達成しようとして、着実に歩んでいこうとはしない
・「革命」や「抜本的」といった言葉が使われる
短期間、業績が良くなったようにみえるが、長続きしない

 

○第5段階 屈服して凡庸な企業へ転落するか消滅する
・黒字でも倒産することがある
企業は現金の不足で倒れる


●すべての企業が第1段階から、そのまま第5段階に進むわけではない
第5段階まで転落しないかぎり、復活することができる

 

●第4段階からの回復と再生


・真に偉大な企業は、困難にぶつからないことではない
一時は後退しても、回復して以前より強くなる能力をもっていることである
完全にうちのめされて退場するのでないかぎり、希望はある


・決して屈服してはならない
敵の力が圧倒的であっても、決して屈服してはならない

 

成功とは、倒れても倒れても起き上がる動きを果てしなく続けることである