イスラーム 10 六信 3


★六信は、ムスリムがその存在を信じることが義務であるとされているものである


1、神(アッラー)
2、天使
3、啓典
4、使徒(預言者)
5、最後の審判の日および来世
6、定命(神の予定)


5、最後の審判の日および来世


・ムスリムは、この世界は終わりを迎え、来世では生前の行為によって楽園(天国)に行くか、火獄(地獄)で過ごすか審判が下されると信じている


 イスラームでは、善行の報奨として、楽園で永遠の生活を享受するとされる
 楽園には、香りのよい泉があり、清涼な水の川、乳の川、美酒の川、蜜の川がある
 楽園の美酒は頭がふらつくこともないし、酔っぱらったりしない
 美味しい果物を心ゆくまで食べる
 ぱっちりした目の美人の乙女を妻として与えられる


 火獄は、不信仰者や罪人が炎で焼かれる場所である
 煮えたぎる汁や熱湯、どろどろの膿汁を飲まされたり、皮膚を焼かれる


火獄に落とされた者は、やがてその罪を赦されて楽園に移される
 火獄で過ごす時間は、罪を犯した度合いによると考える
 実際はそうではないのにムスリムであると強弁する宗教的偽善者が唯一永遠に火獄にとどまる者であるとされる(「イスラーム」J・J・エリアス、春秋社 など)


「記録の書」


・人間は最後の審判で、現世の行為にもとづいて裁かれる


 その現世の行為を天使が記録した書が「記録の書」である


 あなたを監視している2人の書記天使がいて、右側にいる天使があなたの良き行為を記録し、左側にいる天使があなたの悪しき行為を記録している
 最後の審判の時に、自分の「記録の書」をつきつけられ、良いことと悪いことのどちらが多いか数えて計算する
 良いことが多ければ楽園へ、悪いことが多ければ火獄へと裁きが下る


・2人の天使は、善いこと悪いことすべて記録しているが、木曜日にその週の記録の見直しがなされて、善悪に分類される言葉は残されるが、それ以外は記録から消されるという
 さらに、善行は10倍にして書かれるという(「聖典「クルアーン」の思想」大川玲子、講談社現代新書)


「同生天と同名天」


 仏教では、人間が生まれた時から、常に人間の両肩に同生(どうしょう)天と同名(どうみょう)天の2神があって、善悪の行動を記録し、閻魔王に報告するという


 人間が生まれると同時に生じ、人の名と同じなので、同生・同名という
 同名は男神で左肩にあって善業をしるし、同生は女神で右肩にあって悪業をしるすという


 同生同名天は倶生神(くしょうじん)と同一視されている
 倶生とは、生まれたときに倶(とも)に生じるという意味


 「同生同名天」は、善悪の行為はすべて自己の生命に刻まれ、必ず善悪の報いを受けていくという、因果の法理を象徴化したものである