眠れない夜に
「会いたい」
と彼女から一通の電子手紙(メール)が届いた。
でも、僕はその時夜行列車で東京に向かう途中だった。
「ごめん。今、サンライズに乗ってるから」
しばらくして…
「何しに行くの? 私には一言も話してくれなかったね」
と返事が。
「ちょっと講演会に行くんだ」
「誰の?」
「言ってもわかんないよ」
「言わなきゃ、わかんないじゃん」
「秋那五月」
「誰それ?」
「ほら。わかんない」
「意地悪」
次の返事をする前に、僕は携帯を視界から外した。
ちなみに、「秋那五月」は、【あきなめい】と読む。
僕が主催するセミナーの講師として交渉するための上京で、
いくら彼女でもその細かい理由を明かす訳にはいかない。
ここだけの話、秋那五月は先日までバリバリの第一線で活躍した、
元AV女優である。
秋那に出した講師依頼の手紙の返事に
「話をうかがいたいので、直接お会いします。ただ、スケジュールの都合上、
東京で私の講演会があるので、来ていただければ、その後なら時間を
空けられます」
という旨が記され、招待券が同封されていた。
もちろん僕は、秋那の事務所に連絡をして、快諾をしたのは言うまでも
ない。
こちらから、依頼をしたのだ。
出向くのは当然である。
まさか、一世を風靡したAV女優とロマンスに発展するとは夢にも
思わなかった。(ソイヤ!)
神様も悪戯だ。(ソイヤ!)
ツッコミしつこい…(ソイヤ!)
哀川さん、面白い。
柳葉さん、カッコいい。
小木さん、渋い。
(ソイヤ! ソイヤ! ソイヤ!)
カッチャン(勝俣州和)、叫ぶ。(シャーッ!)
こんなギャグオヤジな僕と秋那の接点などないはずなのに、
何故か繋がってしまう時代なのだ。
(つづく)
※この作品は、フィクションです。
表現に配慮したうえで、一部実名表記しておりますが、問題が
あれば削除いたします。
博薫堂

