最近読んだ小説の中で、一番印象に残った作品なので感想を書いてみる。この小説は過去2回映画化されている。(文庫本267ページ)
行く先も理由もわからないまま謎のパイロットが操縦する旅客機に乗せられて辿り着いた所は、チベットの奥深い山岳地帯だった。その山には僧院があり、4人の乗客はしばらくそこで生活をする。暮らしは快適で不自由さは感じない。しかし死ぬまでここで暮らすことなど出来ない。4人のうちのほとんどは、ここから逃げ出して自分たちの国へ戻る方法を考える。
ある日、ここでの暮らしに喜びを感じはじめた主人公は、僧院の尊師に呼ばれて面会する。老齢の尊師は博学温厚な人物で、この国では極端なものの考え方を嫌い、何事も中庸を守っており、それに従って生きれば年を取ることもない。事実、尊師は200歳である。この国の掟はただひとつ、この国から出ていかないことだけだ。シャングリ・ラと呼ばれるこの国はこの世の理想郷なのだ。極端なものの考え方に振り回されている俗世間と対比しながらこの国のすばらしさが語られるユートピア小説。
なぜ4人はこの国へ連れてこられたのか。過去に多くの人がやはりこの僧院へさらわれてきたが、それは死期まじかの尊師の後継者を見つけるためだった。
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