年末年始、お財布の負担が重いのはしんどい。

でも気分転換に美術館とか行きたい。

でもでもアカデミックでボリューミーな展示は

疲れた心にちょっと重い。

 

そんな方はこちらの展覧会、いかがでしょうか。

 

東京都美術館

上野アーティストプロジェクト2023
いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間

 

見ごたえある作品ばっかりなのに

入場料なんと500円!

優しい、そして分かりやすい動物がテーマ

だから入るのに変な気負いがいりません!!

 

と言って侮るなかれ、

つくり手達の「好き」に触れて

見終わった時には自分も「好き」に触れたくなる

キラキラした気持ちになってました。

好きの吸引力、凄い。


人間以外の自然界のいきものを観察し続け

作品にしていく6人のつくり手の作品が見られます。


それがどれも愛らしく、惹き込まれます。

『ヤイロチョウ』 2021年 内山春雄 作家蔵

 

「バードカービング」を極めた内山春雄さん。

ものすごいリアル。

口の中まで見えちゃう。

この鳥の視線の先には何があるんだろう

どんな気持ちで居るんだろう

どこか人間の感情に重ねて見ちゃいます。

展示の最後には視覚障害の方のために

触って楽しめるものも。

左端の穴に専用のペンを刺すと鳴き声がします。

作品って不思議ですね、着色されてない状態なのに

つくり手の温かさまで伝わってくる気がします。

 

というか、鳥を触感で楽しむのは

見える人にだってできない体験。

個人的にはカイツブリの水中足元が触れるのと

モズの嘴が尖ってるのを自分の指で感じられて

ちょっと感動した!!

 

辻永(つじひさし) 右から

『あめりかぼうふう』1934年5月22日

『ほそばしろくさぼたん』1934年6月16日

『どろのき』1934年6月17日

『ひめひごたい』1934年9月6日

『やまとらのお』1934年9月6日

 

膨大に植物の写生をした洋画家辻永。

どうしてこんなに新しい植物に出会うの?

というかどうしてこんなに種類がはっきり分かるの?!

好きだからこそ、なんでしょうね。

優しい絵筆でもこんな大量にあると

ちょっとした圧を感じます。笑

散歩とかしてると突然止まって

動かなくなっちゃうタイプの人かな…

 

『ノーザンダンサー 階層のウインドフィールズ・ファーム』

今井壽惠 1978年 

 

競馬界では有名な女性カメラマンなんだそう。

競馬好きにご連絡したら

「行きます!!!」

と超前向きなお返事がきました。

かつての名馬の一瞬のかっこよさが

詰まってる写真が沢山。

1枚への執念の言葉が印象的でした。

 

『701 全身図』 冨田美穂 2018年

 

この牛、等牛大で、なんと木版!!

牛に惹かれて北海道で酪農をされてる方。

どの牛も、ほんとに可愛い。

なんでしょうね、この白黒写真で写した

おじいちゃんの皴みたいな貫禄まで見える雰囲気。

 

その他にもきのこ、ゴリラなど

好きを突き詰めた温かい作品が並んでいました。

 

 

一通り見終わると

入場料無料でこの

動物園にて ―東京都コレクションを中心に

という展示にも入れるんですが、

この一帯に集まってる藝大と動物園の関係

動物園がどういう歴史をたどって来たか

などなど展示があって

動物園と美術館、大学が隣り合ってるのって

めちゃくちゃ大事なことだったんだ!

と知りました。

 

戦時中展示の動物を手にかけなければいけない悲劇

そんなしんどい中でも子供たちに

癒しを与え続けようとする気持ち

色んなものに触れて、今わーい!って楽しんでる

動物園がより深く感じられます。

 

気軽に行けて、前向きな気持ちになれて、

上野の歴史もちょっと詳しくなれる。

得した気分で帰ってきました。

 

2024年1月8日までやってます。

気忙しい年末年始の一息休憩にオススメです。

 

 

 

國領浩子