2019年12月13日、先程近所のコンビニの駐車場にて写真の品を森下さん(仮名)から戴いてしまいました。
これらの品を戴くまでの3日間の経緯をこれから紹介させていただきます。

 事の起こりは二日前の12月11日、以前より計画していた職場の酒好きメンバーだけで集まる御忍びの忘年会がきっかけでした。

その日は丁度、18時から行われた職場の来年度の方針発表会と重なり(自由参加という名の半強制参加)、集合場所の居酒屋にメンバーが集まったのは19時30頃になりました。何だかんだで、二時間の飲み放題コースでスタートしたのが7時45分から、私は車でしたので(私の地域は基本車出勤、車移動が当たり前)、21時30分に代行運転タクシーを呼んでいただけるよう、お店の方にお願いしコース料理を堪能しておりました。
美味しい料理とお酒で会話も盛り上がり、あっという間に代行タクシーのお迎えが来る時間となってしまいました。
 翌日も勤務だった私は仲間に先に失礼するお詫びをし、代行ドライバーさんがハンドルを握るマイカーに乗り込みました。

  自宅までの5キロ程の道のりをドライバーさんと世間話などをしながらやり過ごしました。
ドライバーさんはおそらくこの仕事のベテランと思われる雰囲気で、年は40代位でしょうか、差し障りの無い会話をする中にも、お客を飽きさせないような、少し気の効いた話の内容だった気がします。

自宅前に無事到着し、バックで駐車する際にお迎え用の車から下りてきた、お迎えドライバーさんがバックへの誘導をしてくださいました。
 その際マイカーのハンドルを握るベテランさんが誘導しているお迎えドライバーさんに「もっと真後ろで誘導するんだよ!」などと凄みを効かせながら指導しておりました。指導を受けていたお迎えドライバーさんは「すみません、すみません」と言いながら一生懸命誘導してくれてました。
 このお迎えドライバーさん新人なのかな?気の弱そうな人だな、40代から50代位の風貌の方なのにキツイ言い方されて気の毒だなー、この業界はパワハラとかキツイのかなあっ、なんて少しの間に色々と想像してしまいました。

車が無事駐車場に収まるとベテランさんは車を降り料金の計算をしているようでした。
しばらくするとお迎えドライバーさんの方が運転席側からポーチを片手に「1700円になります」と、自信の無さそうな声で料金を請求してきました。
  ベテランさんは少し離れた所で本部への到着連絡の為か、どこかに電話していたので私は千円札を二枚財布から取り出しお迎えドライバーさんに手渡し、「少ないけですどお釣りの300円はあなたのチップにして下さい。お仕事頑張ってください」と小声で伝えながらお礼を言い、代行タクシーに乗り込んだ二人を見送った後、すぐに風呂に入り22時位には床につきました。

翌日はいつも通りの時間に起床し出社しました。昨晩の飲み会の幹事も出勤だった為飲み会の会費を払おうと財布を開けると丁度1万円入っている筈だった財布の中身が、千円札一枚に入れ代わっておりました。
うわっ、やっちまった!?どうやら昨日千円札二枚渡したはずが、一万円札一枚と千円札一枚、つまり1万1千円を手渡してしまったようでした。
悩んだ結果、半分は諦めつつも代行運転の会社に連絡し事情を話し、9千円の返却をお願いしてみることにしました。
その日の17時の終業後、昨晩お世話になった居酒屋に連絡をし、呼んでいただいた代行運転業者の名前と連絡先を聞き、早速自分の携帯から代行運転の会社を呼び出してみました。
 それにしても何でこの辺りの代行運転業者の連絡先は携帯電話の番号なんでしょうかね、こんな時はそれだけでその会社が地に足が付いて無いような凄く不安定な会社を想像してしまいます。
しばらくコールするものの呼び出しに答える気配は無いので30分おきに呼び出しを続けました。
 19時になりようやく中年か年配の男性の愛想良い声の応対がありました。
私は少し緊張しながらも昨晩の事を真摯にお伝えし、そのドライバーさんと連絡を取らせてもらえないかお願いをしてみました。
 その時何故か相手の態度がオドオドし始めたように感じました。そして「そのドライバーが分かりましたが、本日はお休みですので連絡を取ってみて、そちらにかけ直します」と伝えられました。私も不安感いっぱいだったものの「はい、わかりました」としか答えようがありませんでした。
それから一時間経っても連絡が無いので、勇気を出してもう一回こちらから電話をしてみました。先程と同じ方の声で応対があったので「先程お電話した○○ですがドライバーさんと連絡はとれましたでしょうか?」と聞いてみると「本日は二人とも休みでして、電話しても出ないので、明日また電話しますよ」と先程のオドオドした感じでは無く、人を安心させる説得力のある声で対応してくれました。
 しかし内心では  このまま連絡も無くスルーされたらどうしよう?などという考えが頭をよぎりましたが相手には「はい、お願いします」としか言いようが無かった事は言うまでもありませんでした…
 もうこの時点でお金の事は7割強ほど諦め、家でテレビを見ていると20時ころ未登録の番号から着信がありました。
 電話にでると「もしもし○○代行の森下ですが」
その声は明らかにお会計をしてくれたお迎えドライバーさんの声でした。
そしてやはり弱気な声で「その節は金額を良く確認もせず申し訳ありませんでした。」といきなり低姿勢で謝罪をしてきました。私は「では昨晩のお札はやはり一万円と千円だったんですね?」と聞くと「それが私もその時良く確認しておらず、そのままもう一人のドライバーにお金を預けたので実際にいくらだったのか分からないんです。すみません」と言われました。
私はその泣きそうな森下さんの声に「それでは、そちらの事務員さんに昨日の金額の集計を確認すれば分かるのではないですか?」と優しく聞いてみましたが、どうやら新人の森下さんにはまだ集金の仕組みが分かっていないらしく、ベテランさんにも聞きにくいというような事を言っておられました。それでも私は「出来れば9千円返していただきたいのですが」
と言うと森下さんは意を決したように「それでは今日はあいにくお酒を飲んでしまったので、出掛けられませんので、明日の夕方そちらの近くのコンビニに行きお金をお返しいたします。車は3万円で手に入れた白のワゴ○Rですので目印にしてください。」と気の弱そうな声で言われました。
3万円の車って!?

 私は何となくこう思いました。

森下さんは人が良く気が弱い性格で、その自信の無さから仕事にもミスが多く、きっと仕事場で苛められたり酷いパワハラ受けたりで仕事が長続きせず、車も3万円のポンコツに乗らざるを得ない生活を送っていた。
  この度気持ちを改たに代行運転の仕事を始めた物の、ベテラン先輩に早速その性格を見透かされ、日々厳しい言動や態度で指導を受ける中で、今回の精算の際にお金の確認をしなかった事をベテラン先輩に打ち明ける勇気が無く、自腹で私にお金を払おうとしているのではないか!?と…
「森下さん、そのお金は森下さんが負担しようとしているんじゃないですよね?ちゃんと会社で精算金額確認してもらって、その分ちゃんとお金受け取っくれるんですよね?」少し強い口調で森下さんに問いただすと「はい、大丈夫ですよ、そうしますよ。」と仰いました。
若干の不安を残しつつその言葉を信じて明日の18時にコンビニでお金の受け渡しをする約束をし通話を終了しました。

そして今日のこと。
今日も出勤だった私は、森下さんとの待ち合わせに遅れないよう仕事をこなしていたのですが、最後のお客さんが大の話し好きだった為に遅れをとってしまい、コンビニに到着した時は18時20分をまわっていました。

  駐車場内を見回すとすぐに森下さんであろうワゴ○Rが止まっているのを見つけました。
自分の車を降り、森下さんであろうワゴ○Rの運転席に近付き声をかけました。
「森下さん遅くなりまして申し訳ありませんでした。」
 二日前は良く見ていなかった森下さんの風貌を改めて拝見すると、やはり見た目は40代か50代位で、髪型は長めのセンター分けの両サイドをハードめに刈り上げた風貌でした。
  森下さんは「いえいえこの度は本当に申し訳ありませんでした。」頭を下げながら車から降りてくると、右手に持った銀行の封筒を私に手渡し、すぐさま左手に持ったパンパンに膨れた中サイズ位のコンビニ袋も私に差し出し、「これはお詫びです」と言って又頭を下げてきました。私ももう一度「遅れてしまってすみませんでした」と謝り、「こんな気遣いはやめてください。」と伝えると森下さんは「これは受け取ってください。お金をちゃんと確認しなくてすみませんでした。」と又々頭を深くさげて来ました。私も「こんなにお気遣いをして戴く訳にはいきません。そもそも私がお金を間違えて手渡しのが悪かったんですから」とコンビニの駐車場で変な謝り合戦がしばらく続きました。

私はそんなやりとりの中こう思いました。

この銀行袋…きっと森下さんの自腹だろな、そして会社にもこの事を言わないで済ますつもりなんだろな、森下さんの会社いったいどんな仕組みなんだ、普通業務終えて会社戻れば精算した合計金額狂ってるの分かる筈なのに、会社もこの責任を組織的に森下さん個人にさせているのだろうか、もしくはベテランさんが差額をちょろまかしたのか?そしてこのお詫びの品…何が入っているんだろうかなどなど…

私はいたたまれなくなりつい「森下さん、よろしければ今から飲みにいきませんか?」と声をかけてしまいました。
 森下さんは「今日は申し訳ありません。」と断ってきました。
私が「では又必ずお誘いさせてください」と言うと「はい、ありがとうございます。」と言って貰えました。
そして森下さんを見送った後、現在家でこのブログを書いています。

このお金、きっと森下さんの自腹なんでしょうね…
あんなに気弱でも真面目で律儀な方は今まで会った事ありませんでした。

 コンビニ袋の中身を広げてみると、際立って高価な品は無いのですが、きっと森下さんが厳選して選んでくれただろうと思わせる品々が沢山出てきました。
お詫びの品にしては少し子供染みた感じはしますが、逆に森下さんの誠意を感じ森下さんを少しも咎める気は無くなりました。いえ、そもそも森下さんに対しての怒りなどはまったくありませんでした。正直少し涙も滲んでいました。

近々森下さんをお誘いしお酒の席でご馳走させて頂こうと固く決意する私でありました。