私が母とこの世で最後に会ったのは、2019年7月29日。
その日、私は午前10:25に出発する便に乗って帰国する予定だった。
いつも日本出発日は早朝だから、母親のいる病院へ行ったことがなかったけど、
この時だけはなぜか私の中でも「行っておかなきゃ」と思ったのを覚えている。
午前07:30頃だったか、もうじき朝食が運ばれてくる時間だったので、母はベッドに座らされていた。
そして、その前日でお別れしたと思っていたのに、突然現れた私を見て驚き、
「どしたん?ここは空港かい?」と混乱していたよね。
その後状況を理解した母は「空港に送ってやれん」と、また私に謝っていた。
その時も母は「私はもう行けないけど、あの世に行ったらピューって空を飛んで行くから大丈夫」と言っていた。
元気な頃は私の住む国へ4回遊びに来てくれた。
自分で来るのは無理な体調だと自覚した頃からは、いつも「あの世に行ったら飛んでいくから大丈夫」と言っていた。
だめだ、まだまだ涙が出る。
通路側のベッドにいた母は、私が廊下を歩いていくのを見えなくなるまで、ずっと手を振ってバイバイをしてくれた。
私も最後までバイバイをした。
それが母との最後だった。
その76日後に母は亡くなった。
最後に帰国した滞在中に、母が「もう帰って来んでええけん」と言った。
いつもは旅費を心配して、そんなに頻繁に日本に帰国しなくていいという意味で言うのだが、
この時は「もう来なくてもいい」という意味っぽく聞こえ、
私は「なんでよ、また来るよ!」と言ったんだけど、
あの言葉が今になって母にとっては意味があったのではないかと思える。
母には色んな意味で希望に沿う人生を歩むことができなかった私。
でも、母は最期までに、それを全部許してくれた。
私のやり方を「それがいい」と肯定してくれ、「あんたを頼りにしている」と言ってくれた。
そして、私に負担をかけず、多くを語らずに最後の最期まで頑張って逝った母。
私はそんな偉大な母になれるのだろうか。
母の死で、私の人生観が変わりつつある。