日光市の中禅寺湖畔で今月2日、釣った魚を放射性物質の調査や研究に利用する「サンプリング釣り大会」が開かれた様です。

中禅寺湖漁業協同組合の初の試みらしく福島第1原発事故による釣り客の落ち込みなどの被害からの再生の願いを込めての釣り大会だそうで、大会には県内外から事前に申し込んだ約90人が参加したとメディアの発表にはありました。

 中禅寺湖では今年3月に、マス類から国の基準値の100ベクレル/kgを上回る放射性物質が検出されており、2年続けて、釣った魚を戻す「キャッチアンドリリース」での解禁となっています。

 釣り上げられたマス類は、漁協がすべて回収し、一部を民間の分析機関に放射性物質の調査を依頼するそうで、結果はホームページ上で公開し、また県水産試験場にもサンプルを提供して放射性物質の研究に役立ててもらうとの事です。


淡水の湖は、海洋と違って 狭い面積のなかで、生き物達は食物連鎖を介してつながっているので、なかなか放射能の汚染度が下がらないそうです。

プランクトンや魚類が寿命をまっとうして死に絶えて、その死骸を糧に小さい生きもの達がに栄えていき、大型の魚類がそれを食し、その魚類が寿命を迎えると、また小動物達がそれを糧に生活するというサイクルが、淡水の湖の中では常に繰り替えされています。

別な言い方をすれば、放射能の生物循環とでも言うのでしょうか。

芦ノ湖といった比較的 北関東よりも汚染度の低い地域の湖は、魚類から検出されるセシウムの量も減ってきている様ですが、ここ中禅寺湖の濃度は今後 どうなっていくのか注視というところでしょうか。

また周囲の山々から、河川を通じて流入してくる土砂にはセシウムが混入しているでしょうから、これは休むことなく、中禅寺湖に行き着いているので、生物を介した放射性物質の循環と、土砂流入によるこの汚染を封じ込めるには、大変な技術を要するような気がします。

しかし、本当に放射能というものは酷いものだと思います。

人間は危なくなったら、避難できますが、生き物たちは何にも知らないで生きているのですから、堪ったものじゃありません。

それも、何世代に渡って汚染が受け継がれていく可能性がありますから、やはりこういった危険性のあるものは手にしてはいけないのではないかと思います。

21世紀はエコの時代とはよく言ったものです。

こういった事故が起こったにもかかわらず、海外に原発を輸出しようとする日本政府の姿勢は、戦争で武器を売りさばく、武器商人と何ら変わりはないのではと思います。

少なくても、開発した技術が悪い方向性に導かれないように、勧めていく側には大きな責任が課せられているはずです。